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「これからの風景 世界と出会いなおす6のテーマ」(静岡県立美術館)会場レポート。伝統的「風景」から現在、そして未来の絵画を思考する【3/8ページ】

 18世紀になるとクロード = ジョゼフ・ヴェルネやフランソワ・ブーシェらの作品に見られるように、嵐のなかの波濤や急峻な崖、稲光のような自然の激しい風景に対する畏怖や畏敬の念が生まれてくる。さらに19世紀から20世紀にかけては、風景と感情を重ね合わせたような絵画も描かれるようになっていく。本章ではこうした風景を題材とした絵画の歴史を、収蔵品からたどることができる。

展示風景より、右がクロード = ジョゼフ・ヴェルネ《嵐の海》(1740頃)

 さらに本章では「誰しもが自由になれるとき」という副題とともに、時代や地域、ジャンルを問わず、風景に身を置いた人物たちに注目しながら作品を紹介。ジャン= バティスト= カミーユ・コローやジャン=フランソワ・ミレーから、脇田和、川内倫子といった現代作家までを展示することで、人物と風景の関係を探る。加えて明治時代以降に日本で描かれた、児島虎次郎、浅井忠、福田平八郎らによる断片的な風景を、「世界の片隅へ、世界の片隅から」の副題とともに紹介している。

展示風景より、左が入江波光《草園の朝》(1926)
展示風景より、左から児島虎次郎《酒津の庭 (水蓮)》(1924-28)、徳岡神泉《雨》(1964)、福田平八郎《雪庭》(1958)