花鳥画と草虫図
日本画の伝統的主題である花鳥画や草虫画も、唐絵の花鳥画を手本に室町時代に大きく開花したジャンルだ。これらは山水画とともに障壁画として、将軍家や武家の屋敷、寺院を飾るようになる。

白い牡丹の花の下で、ひらひらと舞う蝶をじっと見つめる猫を描く《牡丹猫図》は、墨のぼかしと細かな筆致で猫の柔らかい毛並みが見事に表され、大きな眼とともに触りたくなるほど。精緻な牡丹の白との対比にも中国絵画の影響がうかがえる。

そして中国伝来の水墨画とやまと絵の要素を融合させ、「真・行・草」の3つの画体を整えて、狩野派の基礎を築いた狩野元信作と伝えられる《四季花鳥図屛風》は、元信筆とは言えないものの、上へ上へと積み上げていく中国山水図を屛風という横に長い画面に展開し、さらに奥行きまでも描き出した、“元信様”の行体花鳥図の代表作とされる秀作だ。唐絵から何を引き継ぎ、何を変えているのか確認したい。




















