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「唐絵 中国絵画と日本中世の水墨画」(根津美術館)レポート。名品で追う「唐絵」の豊かな展開【6/7ページ】

小田原の狩野派と雪村

 狩野派を大成した元信は、京都のみならず関東にも進出し、北条氏の庇護のもと、小田原を拠点に工房を構える。同じころ、常陸(現・茨城県)出身の画僧・雪村は、雪舟を継ぐものという自負をうかがわせる名とともに、小田原や鎌倉を遊歴してさまざまな作品に触れつつ独自の画風を確立する。ここでは小田原で活躍した狩野派の絵師たちの作品と、雪村円熟期の作とされる大胆で迫力がありながら、どこかユーモラスな《龍虎図屛風》に、唐絵から展開する個性を感じる。

「小田原の狩野派と雪村」展示風景より
「小田原の狩野派と雪村」展示風景より、手前は良祐 《仙女図》(室町時代・16世紀、根津美術館蔵)。草の衣に薬草の入った籠を担ぐ仙女という奇異な作品。筆致から狩野派に連なる絵師と考えられる
「小田原の狩野派と雪村」展示風景より、雪村周継 《龍虎図屛風》(室町時代・16世紀、根津美術館蔵)。水の表現、折れた竹や虎のポーズなど、雪村の個性が発揮されている

編集部