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「唐絵 中国絵画と日本中世の水墨画」(根津美術館)レポート。名品で追う「唐絵」の豊かな展開【4/7ページ】

周文とその弟子たち

 こうした中国絵画の影響は、何よりも禅宗における画僧たちにもたらされた。なかでも相国寺の僧・周文は、足利将軍家の御用画僧として“日本製の唐絵”を多く制作する。その様式は雪舟をはじめとした弟子たちに引き継がれ、画中に僧たちが賛をしたためる「詩軸画」が隆盛するとともに、水墨画の礎となる。それは狩野派にもつながっていく。

「周文とその弟子たち」展示風景より

 周文作と伝えられる《江天遠意図》は、詩軸画の典型といえる一作。画には、対角線を基本に風景を収める“馬遠様”の構図が確認できる。

「周文とその弟子たち」展示風景より、伝 周文筆、大岳周崇ほか11僧賛 《江天遠意図》(重要文化財、室町時代・15世紀、根津美術館蔵)。当時の詩軸画を代表する名品

 画聖と知られる雪舟が改名する前、拙宗等楊と名乗っていた時代の作品には、師・周文の画風から独自の表現を模索している姿を見いだせるだろう。

「周文とその弟子たち」展示風景より、拙宗等楊《潑墨山水図》(室町時代・15世紀、茂木克己氏寄贈、根津美術館蔵)
「周文とその弟子たち」展示風景より、手前は拙宗等楊 《山水図》(室町時代・15世紀、小林中氏寄贈、根津美術館蔵)

編集部