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「まだまだざわつく日本美術」(サントリー美術館)開幕レポート。作品を楽しむために重要な「心のざわめき」に注目【6/7ページ】

 第5章「ちくちくする」では、手芸の一分野としても知られる「津軽 こぎん刺し」に焦点が当てられている。第1弾のときにも紹介されたが、今回は「こぎん刺し」に特化して章立てされている。「津軽 こぎん刺し」とは、江戸時代後期以降、現在の青森県津軽地方の農村の女性が育んだ技法を指す。1mmにも満たない麻布の経糸を奇数目に拾いながら、緯糸にそって木綿糸を刺し綴るという作業を一段ずつ繰り返し、織物のような美しい幾何学模様を編み出していく。この技法は装飾用だけでなく、むしろ薄い麻布の補強と保温性を高めるために編み出された機能的なものである。

展示風景より

 なかでも、本展では「モドコ」と呼ばれる基礎的な単位模様に着目している。「モドコ」はその女性たちの身近にあったものの名前が付けられており、全部で約40種類ほどあると言われている。会場には実際のものを15〜20倍にした模型も展示されており、実際にその編み目に触ることができる。

展示風景より

編集部