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「文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業」の成果発表「ENCOUNTERS」会場レポート。拡張する技術とアートを体感する【4/4ページ】

 山梨・笛吹市の一宮町を拠点とするヒップホップ・クルー「stillichimiya」は、映像制作班・スタジオ石の、映像プロジェクト『ZOKU』の第1弾作品《stillhualian》を制作。台湾原住民の文化を引き継ぐヒップホップ・アーティストたちの思いや生き方を記録し、ともに楽曲を制作し、生み出された音楽をライブで鑑賞者が「体感」するまでを作品にする試みだ。

展示風景より、スタジオ石《stillhualian》

 アート・アンプリファーとして国内外でアートプロジェクトを手がけてきた吉田山は、「私と公の中間にある『窓』」をテーマとした移動型アートプロジェクト「風の目たち」を各地で展開。5センチメートル立方に収まるポータブルな作品とAR作品をギリシャや東ヨーロッパ各地の窓辺に恒久設置し、それをアーカイヴしていく。このアーカイヴをもとに、AR機能つきの書籍の刊行も行った。

展示風景より、吉田山「風の目たち」

 「ロボットをいかに人たらしめるか」というテーマを、おもに視覚からのアプローチによって展開してきたアーティストの藤堂高行は、人に襲いかかろうとする自律ロボットを、鎖に拘束した状態で展示するインスタレーション《鎖に繋がれた犬のダイナミクス》を出展した。四足歩行の犬を思わせる自律ロボットは、枠外の鑑賞者に向かって飛びかかってくるが、鎖によって引き戻され、転び、しかしまた立ち上がる。ここに恐怖を感じるのか、あるいは憐憫を感じるのか、その由来を問うことこそが、藤堂の狙いといえるだろう。

展示風景より、藤堂高行《鎖に繋がれた犬のダイナミクス》

 「文化庁メディア芸術祭」の終了以降、その流れを汲んで規模を拡大させ、制作/発表の支援に目を向けたプロジェクトとして発展してきた「文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業」。今回の「ENCOUNTERS」はその規模、質とともに、この取り組みの成果が目に見えてわかり、多くの人の鑑賞に耐える構成となっていた。本事業が育成するクリエイターたちの今後の表現に、期待が高まる。

 そのほかの創作支援プログラムの出展作家は以下。阿部和樹、安西剛、池添俊、石橋友也、榊原寛/畳部屋、実験東京(安野貴博+山根有紀也)、深谷莉沙、Media of Langue(代表:村本剛毅)、森田崇文、渡部恭己。

展示風景より、森田崇文《MorphFlux》

 発表支援プログラムの出展作家は以下。岩竹理恵+片岡純也、紀平陸、さんや駄々、芹澤碧、對中優、辻梨絵子、長島勇太、永田康祐、ヌマタ/沼田友、花形槙、原田裕規、韓成南、松井美緒、水落大、Mizuki Ishikawa+Shun Momose、持田敦子、諸星智也、山口塁、油井俊哉、吉田裕紀、渡辺真也+宇多村 英恵。

展示風景より、ヌマタ/沼田友《(実在しない)切り抜きチャンネル
『20分でわかるエマ・リーランド』》

編集部

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