写真作家・片桐正義は、警察の鑑識に用いられる粉末を被写体に付着させて写真を撮ることで、撮影時点よりも過去の時間に存在した「被写体に触れた痕跡」を可視化する作品《Trace 2022-2024》を出展。会場には被写体と写真がインスタレーションとして構成されており、片桐が写真で表現する多重的な時間軸を体感できる。

木原共による《演画》は、マンガのなかで、複数のプレイヤーと文章生成AIがキャラクターを演じながら、一緒に物語をつくり上げていくゲームシリーズだ。プレイヤーの発言はマンガの吹き出しとして反映され、それに対して文章生成AIが演じるキャラクターが大規模言語モデルを通して応答するという構造で、ロールプレイで遊べるマンガの新たな形式を提案している。

アニメーション作家の大高那由子が制作したのは、2人の息子が織りなす日々の様子を、アニメーションによって「記憶」し「記録」した作品《「記す」アニメーション》だ。子供たちの行動を日記から抽出し、作家の記憶から再構築し描くことで、動画や文字には残せなかったものの記録を試みており、アニメーションによってしか表現できない領域を模索している。




















