文化庁が「国立文化財修理センター」の整備方針を発表。持続可能な文化財の保存・活用サイクルを形成

文化庁が、日本の修理文化の継承と国内外への発信を進め、中長期的に持続可能な文化財の保存・活用サイクルを形成するための施設「国立文化財修理センター」の整備に関する基本的な方針を発表した。

 文化庁が「国立文化財修理センター」の整備に関する基本的な方針を発表した。

 現在、文化財の修理は所有者の責務とされており、修理技術は主として民間の修理事業者主体で、継承文化財の修理事業の計画から立案、実施までを行ってきた。国指定文化財のみ、文化庁の修理指導監督のもと修理を実施することになっている。

 しかし、修理をコーディネートする人材が不足し、修理の推進と質の管理を行う主体が不明確となっている問題が顕著になっている。また、修理件数の増加や大型作品等の修理への対応から修理スペースが不足しており、さらに技術継承や修理に必要な用具・原材料の確保といった問題や、所有者や国民の修理文化の認知や理解が不足していることも課題となっている。

 こうした状況をうけ、文化庁は「国立文化財修理センター」の整備を推進している。同センターのおもな目的としては次の4つが挙げられている。

①修理推進(情報集約と共有を含む)
②調査研究を着実に実施するための修理・研究体制を構築
③人材育成
④情報発信(普及啓発)

 上記により、日本の修理文化の継承と国内外への発信を進め、中長期的に持続可能な文化財の保存・活用サイクルを実現するとしている。

「国立文化財修理センターの整備に関する基本的な考え方(基本構想)概要」資料より、国立の文化財修理センターのイメージ

 文化庁は上記の目的を果たすための施設として「安全な修理スペース」「修理推進の総合調整機能を担う諸室」「官民協働のプロジェクト修理室」「見学者用スペース」「用具・原材料等の課題解決のための諸室」といった設備が求められると策定した。運営についても、文化財修理が国立博物館の文化財修理所で、行政・民間(所有者含む)の連携を前提として進められてきた経緯などを踏まえて、既存組織を活用した体制づくりを行うという。

 候補地は未定だが、試掘調査等も含めた調査をしつつ、博物館施設等との展示の連動や、これまでの関係性の発展・強化も考慮して候補地を検討するとしている。

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