「CURATION⇄FAIR Tokyo」展覧会パート(kudan houseほか)開幕レポート。ジャンルや時代を超えた作品同士が繰り広げる対話【2/3ページ】

 また、本展の会場構成にアーティストの五月女哲平が加わったことで生まれた、一部の部屋に設置された仮設展示壁も特徴的だ。その意図について遠藤はこう述べている。「kudan houseは関東大震災後に建てられたもので、震災に耐えられるように強い鉄筋コンクリートでつくられている。この背景を踏まえて、あえて仮設的なものやバラック的なものを作品の背景に置くことで、そのコントラストや対称性を強調している。建物の強さと、その真逆の仮設性を組み合わせることで、より強い印象を与えたかった」。

展示風景より、左から《李朝白磁壺》(李朝時代/18世紀)、シュテファン・バルケンホール《白いシャツの男》(2019)、金根泰《Discussion 2023-35》(2023)
展示風景より、左から小瀬村真美《蝶 -Butterfly- framed version II》(2021)、《唐津 壺》(桃山時代)、藤島武二《花》(1901)
展示風景より、左から風間サチコ《地球のおなら館(コンパニオン)「平成博2010」シリーズ》(2019)、《Fasolt & Fafner》(2019)

 さらに、会場では音響構成を担当した音楽家・蓮沼執太によるスピーカーの作品《共振、または1927》(2025)も設置。蓮沼は、kudan houseの建築空間における音の振動をリサーチし、その空間がもっとも振動する周波数を探り出した。この音響作品は、たんに音を加えるだけでなく、建物全体の振動と共鳴することを目的としたものだという。遠藤は「もしこれが本当に大きな音を鳴らした場合、建物が壊れると言われている」とし、この挑発的で破壊的な要素を持つ作品を通じ、「私たちが安全だと思っているものの背後にある不安定さや脆さを漂わせ、展覧会全体の基調トーンを浮き彫りにしている」と語っている。

展示風景より、蓮沼執太《共振、または1927》(2025)

 kudan houseの地下空間では、兼平彦太郎が担当した「Pocket full of sparks それは小さいのに、とても大きい。」展が開催。青木陵子の映像やモーリーン・ギャレースのドローイング、杉戸洋のスケッチ、臼井良平のガラス彫刻、そして会場スタッフのポケットから差し出されるケイト・ニュービーのオブジェなどが紹介されている。旧ガレージと庭で開催中の岩田による「さかむきの砂」展では、柏木崇吾と木藤遼太の作品が、内と外、時間と空間の交錯をテーマに展示され、鑑賞者は身体感覚とともに作品に没入することができる。

展示風景より、杉戸洋によるドローイング・インスタレーション(2025)
展示風景より、モーリーン・ギャレース《Winter Road》《Winter Woods》(いずれも2024)
展示風景より、臼井良平《Basket》(2025)

編集部

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