セーヌ川左岸にあるオルセー美術館がオープンしたのは1986年。もともと1900年のパリ万博に合わせて建てられたオルセー駅の優美な佇まいのなかで19世紀美術を専門に展示しているためか、美術館もずっとこの街にあったかのような存在感だ。クリストフ・ルリボー会長と主要学芸員らは、この美術館が2027年に開館40周年を迎えるのを前に、総額5000万ユーロ(約77億円)規模の大改装を行う計画を発表した。
ちなみにオルセー美術館で見ることができる19世紀美術とは、フランスで「民衆の春」を迎えた1848年革命(日本では二月革命と呼ばれるパリ市民や労働者による蜂起により王政が崩壊、共和政が成立しヨーロッパにも影響を与えた年)から、第一次世界大戦が勃発した1914年までの作品を指す。それ以前はルーヴル美術館、以降はポンピドゥー・センター(国立近代美術館)が収集・展示している。
オルセー美術館のコレクションは現在約15万点。なかでも元印象派美術館(現ジュ・ド・ポーム)から移管された印象派の作品群は、姉妹館のオランジュリー美術館の睡蓮の常設展示とあわせて今日も展覧会の花形となっている。また、絵画や彫刻だけでなく、写真や版画、工芸品などにもおよび、近年では現代アートの企画展やパフォーミングアーツ等の催しも盛んだ。
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