「CURATION⇄FAIR Tokyo」展覧会パート(kudan houseほか)開幕レポート。ジャンルや時代を超えた作品同士が繰り広げる対話

「kudan house」を舞台に昨年初開催されたアートイベント「CURATION⇄FAIR Tokyo」。その展覧会の部分が始まった。遠藤水城がキュレーションした「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」展を中心に、古美術から現代美術までの作品が時代を超えて対話を繰り広げている。

文・撮影=王崇橋(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より

 東京の登録有形文化財である「kudan house(九段ハウス)」(旧山口萬吉邸)を舞台に昨年初開催され、展覧会とアートフェアの二部で構成されるアートイベント「CURATION⇄FAIR Tokyo」は今年も開催される。その展覧会の部分が始まった。

 今年は、メイン会場となる「kudan house」での展示に加え、サテライト会場として「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町,ラグジュアリーコレクションホテル」と「赤坂プリンス クラシックハウス」でも展示が行われる。kudan houseでは、昨年から引き続き担当する遠藤水城のほか、新たに兼平彦太郎と岩田智哉が加わり、3名のキュレーターによる3つの展示が展開されている。

展示風景より、川端康成《有由有縁》

 kudan houseの1階から3階までの空間では、遠藤が担当する「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る The Beautiful, the Ambiguous, and Itself」展が開催。古美術、近代美術、現代美術の作品が一堂に展示され、異なる時代やジャンルの作品が同じ空間で対話を繰り広げている。8世紀の《唐三彩万年壺》や平安時代の《男神坐像》から、松江泰治三宅砂織、ジョシュ・ブランド、シュテファン・バルケンホール、土肥美穂、風間サチコらによる現代の作品までがひとつの空間に共鳴し、時間の往還を体験できる。

展示風景より、中央は有元利夫《ドローイング》(1981)。右は《唐三彩万年壺》(8世紀)
展示風景より、《男神坐像》(平安時代)

 遠藤は、この展覧会が目指す体験を次のように語っている。「作品の時代や背景、素材や技法がそれぞれ異なっているものが、同じ空間のなかでどのように対話しているのかを見ていただきたい。一つひとつの作品にじっくりと向き合うのではなく、空間全体を感じ取り、作品同士が交わす『秘密の約束』を見つけ出し、私たちが第三者としてその会話を眺めているような感覚で鑑賞していただきたい」。

展示風景より、右から猪熊弦一郎《首》(1952)、髙木大地《Raindrops》(2024)、関根直子《Square Image (409)》(2024)

編集部

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