東京・九段の登録有形文化財「kudan house(九段ハウス)」を会場に、2月から開催される新しいアートイベント「CURATION⇄FAIR」。その展覧会「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る(The beautiful, the ambiguous, and itself)」の詳細が発表された。
同イベントは、展覧会(2月21日〜3月3日)とアートフェア「Art Kudan」(3月9日〜3月11日、3月8日は招待日)の2部構成。遠藤水城がキュレーターを務める展覧会では、川端康成と大江健三郎の文化論を起点に、古美術から現代美術まで、時代やジャンルを超えた作品が集結。人間中心的な視点ではなく、「もの」の質と美に焦点を当てる。
展覧会のタイトルは、川端康成がノーベル文学賞受賞に際し、1968年に行った講演のタイトル「美しい日本の私」と、その26年後に日本人で2人目の同賞受賞を果たした大江健三郎の「あいまいな日本の私」から着想を得ている。李朝白磁壷や信楽壷に加え、青木野枝、合田佐和子、橋本聡、伊藤慶二、川端実、川端康成、香月泰男、熊谷守一、小川待子、大西伸明、カズ・オオシロ、パブロ・ピカソ、シャプール・プーヤン、山口長男などの作品が展示される。
ボイラー室などがあるkudan houseの地下空間では、アーティストの橋本聡が手がける新作とシベリア抑留を生き抜いた香月泰男の絵画がともに展示。1階〜3階の居住空間では李朝の白磁壷や川端康成の書、主に鉄を用いた立体作品を多くの芸術祭や個展で発表してきた青木野枝の作品などが紹介される。
ほかには、複製技術の手法を用いて固有の存在についてアプローチする大西伸明や、陶土で繊細な作品を制作する小川待子の近作、西洋と東洋、相対的でありながらお互いに光と影になる政治的な緊張関係をコンセプチュアルに表現するイラン出身のシャプール・プーヤンの彫刻作品なども本展で楽しむことができる。
日本の歴史に名を刻む名建築kudan houseで、古美術、近代美術から現代美術まで、多様な作品と向き合う機会をお見逃しなく。