若き華楊の着眼点と徹底した「写生」に注目
会場では、全4章の構成で華楊の画業をたどる。まず1章「初期作品」では、その名の通り華楊の瑞々しい初期作の数々が並ぶ。


13歳で生涯の師となる西村五雲の私塾に入門し、早々にして画家のキャリアをスタートさせた華楊。その若き日の作品群には、確かな才能のなかに試行錯誤を重ねた形跡が見受けられる点も興味深い。京都画壇の特徴であり、華楊自身もつねに心がけていたという「写生」は、師から受け継いだ生涯の教えとなった。本章では、華楊が22歳頃に手がけた初期の代表作で、同館が収蔵する《葉桜》(1921)が、貴重な大下絵と並べて展示されている。


専門学校の研究科を卒業した華楊は、画家としてのキャリアを順調に築くとともに、母校の助教授にも就任した。しかし、その矢先に五雲が急逝し、大きな喪失感を味わうこととなる。華楊は五雲が創設した晨鳥社の再興や遺作展の開催に奮闘するいっぽう、「いかに師の教えを受け継ぎながら、自身の表現を追求していくか」という大きな課題に向き合うこととなった。

続く2章「系譜 師・五雲から華楊へ」では、師を失った華楊が見せた新たな展開を紹介。師の教えを根底に宿しながらも、独自のリアリティと動物への優しいまなざしが共存する動物画や、海軍省派遣画家として従軍中に描かれたスケッチなどが展示されている。また、本章では華楊作品に登場する動物たちの「かわいさ」の秘密を探る小特集も用意されており、視覚的な緩急が楽しい空間となっている。



















