1920年代の自画像から戦後の作品まで
今回のハイライトのひとつが、藤田がパリで名声を確立しつつあった1924年に制作した《Mon portrait》だ。水彩とペン、インクを用いて絹に描かれた自画像で、落札予想価格は80万〜120万香港ドル(約10万〜15万米ドル/1600万〜2400万円)。机に向かう藤田の周囲には東アジアの書道具と西洋の日用品が配置され、日本とヨーロッパという2つの文化的背景をひとつの画面に共存させている。おかっぱ頭に丸眼鏡、パイプという、1920年代のモンパルナスで広く知られることになる藤田自身のイメージを確立した初期の重要な自画像でもある。

いっぽう、今回もっとも高い評価額がつけられているのが、1949年にニューヨークで描かれた《Le rêve (Hommage à La Fontaine)》だ。落札予想価格は400万〜600万香港ドル(約51万〜77万米ドル/8000万〜1億2000万円)。フランスの寓話作家ジャン・ド・ラ・フォンテーヌに着想を得て、巣のなかで眠るキツネの家族を描いた作品で、藤田が1949〜50年のアメリカ滞在中に制作したことが確認されている4点のキツネの絵のひとつ。うち2点は現在、日本の美術館に所蔵されており、本作は個人蔵に残る重要作と位置づけられている。

ほかにも、猫と子猫を描いた1932年の《Chatte et chaton》(予想価格200万〜300万香港ドル)や、1927年の裸婦像《Nu assoupi sur la table》(同200万〜300万香港ドル)など、藤田を象徴するモチーフが揃う。また1933年の《Madeleine endormie》は、ルイス・コレクションが1992年に初めて購入した藤田作品であり、その後30年以上にわたる収集の出発点となった作品だ。




















