市場の選別が進むなかでギャラリーの動向
参加ギャラリーの展示内容からも、現在の市場状況をうかがうことができる。
ShugoArtsのブースでは、安田侃の大理石彫刻5点を中心に展示。これらはいずれも初披露となる作品で、丸山直文や松平莉奈の新作など、同ギャラリー所属アーティストとともに紹介されている。安田の彫刻の価格は最高約15万ユーロ(約2700万円)。なお、フェア会場である東京国際フォーラムのエントランスに設置されたパブリック・アートは安田の手によるものだ。
VIP初日の17時時点で、20万円から800万円の価格帯の作品9点がソールドまたはリザーブとなった。ギャラリー代表の佐谷周吾は、ここ数年の市場の変化についてこう語る。「ここ2〜3年を振り返ると、昨年あたりから状況が大きく変わってきた印象がある。これまで積極的にギャラリーで作品を購入していたコレクターの姿が、急に見えなくなったように感じることも多い。楽観的な状況ではない」。

佐谷はさらに、次のように続けた。「いまは大きな転換期にあるのではないか。AIの進展などもあり、多くの人が自分の仕事やビジネスにこれまで以上に集中せざるを得ない状況にあるのかもしれない」。
KOTARO NUKAGAでは、初日(プレセールを含む)に松山智一の新作絵画(12万ドル)、ジョエル・メスラーの絵画(11万ドル)、松川朋奈の作品2点(40万〜80万円)、飯川雄大の作品数点(各13万円)などが販売された。ギャラリー関係者によれば、現在の市場は二極化の傾向が見られ、一定の知名度を持つ作家や市場の注目度が高い作家の作品は引き続き取引が成立しているという。また、近年は具象絵画の人気が再び高まりつつあるとも指摘する。

小山登美夫ギャラリーのブースでは、数十点の小型作品を中心とした展示が行われている。価格帯も1000円や1万円程度の作品から約6万ドル(約960万円)の作品まで幅広い。
ブースではギャラリーの備品のほか、過去の展覧会やアートフェアで使用された台座などが組み合わされている。この試みの背景には、ギャラリーのコスト削減やサステナビリティの問題もある。アートフェアでは、ブースの壁を設営するほど廃材が増える。そこでギャラリーのストックを壁や棚の代わりとして活用し、展示方法そのものを変えることで、新しいブースのあり方を模索したそうだ。




















