今回、日本からは24ギャラリーが出展。SCAI THE BATH HOUSE、小山登美夫ギャラリー、ミヅマアートギャラリーといった国内の著名な現代美術ギャラリーも名を連ねたほか、現地に合わせたプレゼンテーションを行うギャラリーも目立った。

銀座のほか、台北を含めたアジア各国に拠点を持つホワイトストーンギャラリーは、台湾の人気司会者である蔡康永の平面作品を展示。多くの人々が作品の写真を撮影する様子が見られたほか、本人による作品説明には現地のマスコミが集まるなど、注目度の高さが伺えた。

東京・銀座のたけだ美術は、愛☆まどんなを個展形式で紹介。ブースには立体から平面まで多彩な作品がそろったほか、作家によるライブペインティングも実施。キャラクターをモチーフとした作品も多い本展だが、個展形式でその作風を印象づけることに成功していた。

台湾の文化部が推進する「MIT新人推薦特区」も第18回目を迎え、8組の若手アーティストによる作品が展示された。杜宜蓁(Fei Hwang Art)の3DCGの身体と性を主題とした映像作品や、工芸の視点から大量生産される製品の曖昧さを考える王言然(YIRI ARTS)の陶芸作品など、意欲的な作品が並ぶ。


また、今年のフェアでも台湾の先住民アートにフォーカスした特別展を開催。6回目となる本展では、イダス・ロシン、エレン・ルルアン、シキ・スフィン、ミレイ・マヴァリウ、ラルユ・パヴェラヴの作品を紹介している。なお、12月16日まで大阪の国立民族学博物館で開催中の「フォルモサ∞アート──台湾の原住民藝術の現在(いま)」では、このうちのロシン、スフィン、マヴァリウの3名が紹介されており、国内でも作品を見ることが可能だ。

また、開催に併せて「台北アートウィーク」も11月2日まで開催されている。昨年より規模を拡大し、市内全域にわたって8つの展示ゾーンと8つのテーマプロジェクトを展開。70を超えるギャラリー、美術館、アート機関、アーティストスタジオと協働する。市内の文化拠点を巡る特別バスツアーが行われる。
アジアにおいて長い歴史を持つアートフェアの雄として、依然として存在感を見せたART TAIPEI。新進気鋭の作家のみならず、山水画や書、陶芸といった東アジア地域において広く価値観が共有される伝統的文化の土壌に立脚した作品も目立った。中国のアート市場の低迷、香港の政治的不安、存在感を増す韓国、ジャカルタをはじめとした新興市場の隆盛など、大きな変革のなかにあるアジアのアートマーケットだが、今年のART TAIPEIは台湾の底力を改めて印象づけるフェアになったといえる。



















