ベルギーを代表する現代アートギャラリーのひとつであるZeno X Galleryが、2023年末を以て閉廊することを発表した。
1981年、フランクとエリアーヌ・デマエグド夫妻によってアントワープに設立された同ギャラリー。これまでリュック・タイマンスやミヒャエル・ボレマンス、ディルク・ブレックマン、アナミー・ヴァン・ケルクホーベンなどベルギー出身の重要な現代アーティストを紹介してきており、2021年に東京都現代美術館で個展を開催したオランダ人アーティスト、マーク・マンダースも同ギャラリーの所属作家だ。また、21年にはファッションデザイナーのマルタン・マルジェラの取り扱いが話題を集めたことは記憶に新しい。
閉廊の理由について、デマエグド夫妻はギャラリーのInstagramで「いくつかの健康上の問題により、ストレスとプレッシャーに耐え切れなくなったため」と投稿している。
現在70代のフランク・デマエグドは、42年間ギャラリーの運営に携わってきた。ベルギーのメディア「Belga News Agency」によれば、創設者の年齢のほか、経済的な理由も一因である可能性がある。同ギャラリーの2022年の売上高は、1900万ユーロ以上から1100万ユーロ近くまで43パーセント減少し、利益も前年より52パーセント減少しているという。
デマエグド夫妻はInstagram投稿で、次のような感謝の意を表している。「何よりもまず、ギャラリーがコラボレーションしてきたすべてのアーティストに感謝いたします。彼らの献身、創造性、寛大さがZeno X Galleryの成功を決定づけました。また、勤勉で忠実なスタッフにも大変感謝しています。結局のところ、ギャラリーはそのチームによって定義されるのです。さらに、コレクター、同僚、報道関係者、美術館、アート機関の皆様のご支援、絶大なる信頼、友情に感謝申し上げます」。
同ギャラリーは予定通り、今年12月末まで展示プログラムを実施。次回は9月20日に始まるジャック・ウィッテンの個展を予定している。