「男」に悩むすべての人へ。ターナー賞作家グレイソン・ペリーの新書『男らしさの終焉』をチェック

人種や階級、性別、セクシュアリティ、経済学、人類学、社会学、心理学など様々な分野を横断しながら、ときに風刺を交えた分析を行うターナー賞作家グレイソン・ペリー。そんなペリーが新時代のジェンダーとしなやかな男性のあり方を模索した書籍『男らしさの終焉』を紹介する。

『男らしさの終焉』より

 ターナー賞作家であり異性装者としても知られるグレイソン・ペリーが、新時代のジェンダーとしなやかな男性のあり方を模索した新書『男らしさの終焉』が、12月25日にフィルムアート社より刊行される。

 ペリーは1960年イギリス生まれ。現代社会を風刺した陶芸やタペストリー、彫刻、版画などを手がける。これまで大英博物館やサーペンタイン・ギャラリー、金沢21世紀美術館で個展を開催するなど、国際的に注目を集めるアーティストだ。またアーティストとしての活動にとどまらず、英国アカデミー賞受賞テレビ番組の司会者や、BBCのラジオ講義「リース・レクチャー」の講師なども務めている。

『男らしさの終焉』より

 12歳の頃に自身の男性性に疑問を抱き、やがて女性の服を着ることに魅力を感じるようになったペリーは、暴力的な継父をはじめとする周囲の男性やジェンダーの縛りに苦しんだ経験を持ち、男性の最大の敵は男性自身だと話す。

 そんなペリーは、人種や階級、性別、セクシュアリティ、経済学、人類学、社会学、心理学など様々な分野を横断しながら、ときに風刺を交えた分析を行う。本書のラストでは、社会で規範とされる男性像や「男らしさ」の固定観念から自由になるため、男性に向けた未来のマニフェストを提示している。

 今日、男性性の被害者は必ずしも女性だけではない。時代遅れの「男らしさ」と距離を置くペリーによる本書は、ジェンダーにポジティブな変化をもたらすのではないだろうか。

『男らしさの終焉』より
『男らしさの終焉』より

編集部

Exhibition Ranking