川口市立美術館の開館記念展に蜷川実花。「はじまりの光」で創作の原点をたどる【2/2ページ】

新シリーズ「First Light」を初公開

 第2章では、蜷川の表現世界に大きな影響を与えた家族との記憶に焦点を当てる。若き日の両親が写るアルバムを蜷川自身が再撮影した新シリーズ「First Light」を初公開。過去の写真に娘としての視線を重ねることで、写真に記録された家族の記憶を現在へと呼び戻す。

蜷川実花「First Light」(2026) ©mika ninagawa / bookshop M Co.,Ltd. / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

 さらに、膨大な書籍や美術資料で埋め尽くされた蜷川幸雄の書斎を移設展示するほか、母で元俳優、キルト作家の蜷川宏子による作品も紹介される。蜷川実花が幼少期に遊び場としていた書斎は、父が演出する舞台の世界が家庭の内部へと入り込み、現実と虚構が交錯する空間でもあった。蜷川幸雄の没後10年となる現在、その気配を伝える場所が川口に再現される。

書斎 ©ニナガワカンパニー

 川口市立美術館は、JR川口駅西口から徒歩約2分、川口総合文化センター・リリアに隣接して開館する新たな文化拠点。「継承」「共生」「育成」を理念に掲げ、展示室のほか、ライブラリーやミュージアムショップ、レストランを備えた「公園のような美術館」を目指すという。

 大規模な空間演出ではなく、一瞬の光を切り取る写真と、これまで積極的には明かされてこなかった個人的な記憶から蜷川の表現を見つめ直す本展。感性の原点となった川口の地で、作家の「はじまり」に迫る展覧会となる。