2024.3.22

今週末に行きたい展覧会ベスト10。北欧の神秘から百年後芸術祭、オチ・オサムまで

今週末までに開幕・閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」(東京オペラシティ アートギャラリー)展示風景より
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美しきガラスと絵画の共演。「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」(東京オペラシティ アートギャラリー

展示風景より、手前が山野アンダーソン陽子のガラス作品、奥が小林且典の絵画

 東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーの「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」は3月24日まで。会場レポートはこちら

 本展はガラス作家・山野アンダーソン陽子の作品を収録したアートブックを制作するプロジェクトの一環として開催されている。まず、山野が声をかけた18人の画家が、それぞれの画家が自身が描きたいと思うガラス作品を言葉で表現。その言葉に応答するかたちで山野がガラス作品を制作し、そのガラス作品を画家が描くというものだ。さらに、できあがった絵画と山野のガラス作品を写真家・三部正博が撮影、さらにデザイナー・須山悠里のデザインによりアートブックがつくられている。本展は、この制作プロジェクトのなかで生まれたガラス作品、絵画作品、そして山野の言葉などによって構成されている。

会期:2024年1月17日〜3月24日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-20
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:11:00〜19:00 ※入場は閉館の30分前まで 
料金:一般 1400円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料

九州派の俊英の美術館初回顧展。「オチ・オサム展」(福岡市美術館

オチ・オサム 球の遊泳II 1979 福岡市美術館蔵

 福岡市美術館で美術家、オチ・オサム(1936〜2015)の回顧展「オチ・オサム展」が3月24日まで開催されている。

 オチは福岡を拠点とする前衛美術グループ「九州派」の中心メンバーとして活動。九州派時代はアスファルトなど身近な事物を絵画やオブジェの素材とした作品を制作した。1960年代後半から70年代にかけ、二度にわたり渡米。同地でヒッピー文化に刺激され、絵画制作に取り組んだ。この頃より登場する空間に浮かぶ球体というモチーフはオチの代名詞となる。自宅では膨大なドローイングやコラージュを制作。生活に根ざした表現を日々探求した。

 本展はオチの美術館初の回顧展。九州派時代から晩年までの作品・資料約180点を紹介し、幅広い活動をたどる。

会期:2024年1月24日〜3月24日
会場:福岡市美術館
住所:福岡市中央区大濠公園1-6
電話番号: 092-714-6051(代表) 
開館時間:9:30~17:30 ※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 200円、高大生 150円、中学生以下無料

正伝永源院の寺宝の数々が集結。「四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎」(サントリー美術館

展示風景より、《織田有楽斎坐像》(江戸時代 17世紀)

 東京・六本木のサントリー美術館で開催されている「四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎」は3月24日まで。レポート記事はこちら

 本展は戦国の時代、三天下人に支えて生き抜いた茶人・織田有楽斎(おだ・うらくさい)の人物像に迫るもの。有楽斎こと織田長益は天文16年(1547)に織田信秀の子、織田信長の13歳下の弟として生まれた。武将として活躍したのち、晩年には京都・建仁寺の塔頭「正伝院」を再興し隠棲。戦乱の世を信長、秀吉、家康の三天下人に仕えて乗り切ったことでも知られている。

 本展では、その人物像を総合的にとらえなおそうとしており、正伝永源院の寺宝の数々が並んでいる。全5章では、茶道具や書状の数々のほか、愛知県犬山市の有楽苑に移築されている茶室「如庵」および重要文化財の「書院」の3次元計測データを裸眼で立体視できる空間再現ディスプレイも展示されている。

会期:2024年1月31日~3月24日
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4(東京ミッドタウン ガレリア3F)
電話番号:03-3479-8600 
開館時間:10:00~18:00(金土・2月11日・22日・3月19日〜20:00)  ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1600円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料

金仁淑と荒木悠の作品を展示。「恵⽐寿映像祭 2024」コミッション・プロジェクト(東京都写真美術館

展示風景より、金仁淑《House to Home》(2021-24)

 東京・恵比寿の東京都写真美術館で開催されている「恵比寿映像祭2024」のコミッション・プロジェクトは3月24日まで。会場レポートはこちら

 同映像祭は、映像をめぐる様々な選択肢に目をむけ、多様化する映像表現と映像受容の在り方を問い直し、発信してきた。第16回目の開催を迎える今年の映像祭では、現代美術家・土屋信子によるプロジェクトタイトル「月へ行く30の方法」を全体テーマに掲げ、映像表現におけるオルタナティヴな視点や、アーティストらの表現を通じて未来への取り組みを模索した。3階展示室では、昨年の「コミッション・プロジェクト」にて特別賞を受賞した、金仁淑と荒木悠の作品が展示されている

会期:2024年2月2日~18日 ※コミッション・プロジェクト(3階展示室)のみ3月24日まで
会場:東京都写真美術館
電話番号:03-3280-0099
開館時間:10:00~18:00(金~20:00)
料金:無料

空間を体験する。YOSHIROTTEN 個展「Radial Graphics Bio / 拡張するグラフィック」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)

YOSHIROTTENと、《Signal RGB(2024 Version)》 Photo by Kazuki Miyamae

 東京・銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)で、YOSHIROTTEN(ヨシロットン)の個展「Radial Graphics Bio / 拡張するグラフィック」が3月23日まで開催中だ。

 本展は同ギャラリーの第400回目となる企画展。1階展示室はYOSHIROTTENのグラフィックにまつわる原体験をテーマにしたアート・シリーズ《RGB Punk》の作品群で構成されるほか、2019年に発表された60台のモニターディスプレイ作品《Signal RGB》も会場空間にあわせて再構成。さらに、昨年「EASTEAST_TOKYO 2023」で発表された《RGB Machine》も再び登場している。

 地下展示室は、部屋全体がインスタレーション作品《R.G.B. (Radial Graphics Bio)》であり、全16台のモニター、発光する床、台座に設置された3つの物体と岩、空間全体を観賞・体験する作品となっている。

会期:2024年2月14日〜3月23日
会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
住所:東京都中央区銀座 7-7-2 DNP 銀座ビル 1F/B1
電話番号:03-3571-5206 
開館時間:11:00〜19:00
休館日:日祝
料金:入場無料 

西野達とevalaの新作が登場。「渋谷ファッションウイーク2024春」(Bunkamura

展示風景より、西野達《ミラーボールファニチャー》(2024)

 2027年度中までオーチャードホールを除いて長期休館している複合文化施設「Bunkamura」。ここでアーティスト・西野達、サウンドアーティスト・evalaによる新作インスタレーションを発表している。会期は3月24日まで。

 この展示は、同時開催中の「渋谷ファッションウイーク2024春」(3月15日〜24日)の一環として行われるもの。昨年の「ハチ公の部屋」でも話題を呼んだ西野は、Bunkamura建築のシンボルともいえる地下1階に広がる吹き抜けでインスタレーション作品《ミラーボールファニチャー》(2024)を発表。同作では、Bunkamuraのラウンジで使われていた椅子や、控室のロッカー、ポスターを立てかけるためのイーゼル、コンサートホールで使われていた譜面台などの家具や什器にミラーを貼り付けて、ミラーボールとして再構成されている。

会期:2024年3月16日~24日
会場:Bunkamura 地下1階 
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
開館時間:13:00〜20:00(最終日〜18:00)

街で楽しむアート。有楽町ウィンドウギャラリー2024(丸の内仲通り沿いの商業店舗8軒)

有楽町ウィンドウギャラリー2024の展示風景より、壁面の絵画はbois de gui(フラワーショップ)で展示中の浅野友理子の作品

 丸の内仲通りの商業店舗数店で現代アートを展示・販売するイベント「有楽町ウィンドウギャラリー」が3月24日まで開催されている。イベントレポートはこちら

 本イベントは、国内有数のブランド街・丸の内仲通り沿いのウインドウを、期間限定でアートによって華やかに彩るもの。各店舗のイメージに合わせてセレクトされた人気アーティスト8人の作品が、参加店舗8軒に展開される。

 出展作家は、浅野友理子、河本蓮大朗、佐藤翠、篠崎由美子、杉山功、ステファニー・クエール、玉山拓郎、山本万菜。

会期:2024年3月1日~3月24日
会場:丸の内仲通り沿いの商業店舗8軒
住所:東京都千代田区有楽町1丁目、丸の内3丁目
観覧料:無料 ※ただし「TexturA」での玉山拓郎の作品鑑賞には店内飲食の利用が必要。

北欧の絵画、再発見。「北欧の神秘─ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」(SOMPO美術館

エドヴァルド・ムンク ベランダにて 1902 ノルウェー国立美術館 Photo by Nasjonalmuseet / Børre Høstland

 シンプルで機能的な家具、洗練されたデザインのテキスタイルや陶磁器などで知られている北欧。そのなか、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの3ヶ国の絵画にフォーカスした国内初めての本格的な展覧会「北欧の神秘─ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」がSOMPO美術館で開催される。会期は3月23日~6月9日。

 本展では、ノルウェー国立美術館、スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館という3つの国立美術館の協力を得て、各館の貴重なコレクションから選び抜かれた約70点の作品が集結。19世紀から20世紀初頭の国民的な画家たち、ノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクやフィンランドの画家アクセリ・ガッレン=カッレラらによる絵画が紹介される。

会期:2024年3月23日~6月9日
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(金〜20:00) ※最終入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし4月29日、5月6日は開館、振替休館なし)
料金:一般 1600円 / 大学生 1100円 / 高校生以下無料

房総の魅力をアートで再発見。「百年後芸術祭─内房総アートフェス─」(市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市)

千田泰広 Analemma 2023 牛久リ・デザインプロジェクト(2023)出展作品

 市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市の内房総5市を舞台に、千葉県誕生150周年事業の一環として「百年後芸術祭─内房総アートフェス─」が開催中。3月23日からはアート作品の展示がスタートする。

 アート作品の展示には、気鋭の現代アート作家を国内外から招聘。市原市の牛久商店街や市原湖畔美術館、旧里見小学校には約50作品を展示。さらに新設となる、木更津、君津、袖ケ浦、富津の各市では、来場者が巡回しながらアート作品を鑑賞しやすいよう、それぞれ拠点となる地域を選定し、作品が展示される。

会期:[イベント・パフォーマンス期間] 2023年9月30日~2024年5月5日  / [アート作品展示期間] 2024年3月23日~5月26日
開催エリア:市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市 
休館日:火水(ただし4月30日、5月1日は除く)
前売パスポート販売期間:2024年2月9日〜3月22日
料金(前売):一般 3000(2500)円 / 小中高生 2000(1000)円 / 小学生未満無料

アートの敷居を考える。「敷居を踏む Step on the Threshold」(東京藝術大学大学美術館

  東京藝術大学大学美術館 陳列館で開催される「敷居を踏む Step on the Threshold」は、訪れる人を屋内と屋外、アートと自然、そして日常生活と美術制度のあいだの空間へと招く展覧会だ。会期は2024年3月23日〜24日、28日〜31日、4月4日〜7日。

 本展では、私たちが当たり前に受容している境界線の〈敷居/閾(しきい)〉に存在するアートのあり方を探る。 さまざまな媒体で活動する5人の現代アーティスト、うらあやか、唐沢絵美里、ジャスミン・重村・リー、横手太紀、吉濱翔の作品を紹介するとともに、会期を通したワークショップやパフォーマンス、ウォーキングツアーによって、展示空間としてのギャラリーの内・外を解きほぐすことを目的としている。

会期:2024年3月23日〜24日、28日〜31日、4月4日〜7日
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館1、2階、周辺エリア
住所:東京都台東区上野公園12-8
開館時間:10:00〜17:00
料金:無料