気鋭の陶芸家・中井波花。「白紙」で見せる新作個展

東京・神宮前にあるギャラリー「白紙」で、陶芸家・中井波花の新作個展「MELTING TIME」が始まった。会期は11月26日まで。

展示風景より

 いま注目すべき陶芸作家のひとり、中井波花(なかい・なみか)。その新作個展「MELTING TIME」が、セレクトショップ「Graphpaper」が運営するギャラリー「白紙」で始まった。会期は11月26日まで。 

 中井は1993年北海道生まれ。シドニー、デンマークでの留学を経て帰国し、帰国後は北海道教育⼤学教育学部⼼理学分野、多治⾒市陶磁器意匠研究所で学んだ。22年には金沢卯辰山工芸工房を修了し、現在も金沢で制作を行っている。主な参加展覧会に、「第5回金沢・世界工芸トリエンナーレ 工芸が想像するもの」「第78回金沢市工芸展」(2022)、「第9回菊池ビエンナーレ」「笠間陶芸大賞展」(2021)など。また個展としては「中井波花展」(白紙、2021)、「中井波花 浮かぶ」(TARO NASU、2023)などがある。

 陶芸の世界でごく当たり前に使われる⼟と釉薬。これを融点の異なる陶芸素材と再解釈し、そのふたつを同⼀線上で扱うことでやきものの新しい表現を追求し続ける中井。その作品は力強く繊細であり、有機的に立ち上がったフォルムが大きな特徴だ。

展示風景より、《肖々-C-》

 白紙では同ギャラリーのこけら落とし以来2回目となる本展では、ユニークピースの数々のほか、茶碗や限定のカップなどが並ぶ。

紐状に伸ばした⼟を⼀段⼀段積み上げ、作品を⼤きくしていく。
失われていく⽔分を指先に感じ、息で揺らぐ柔らかな⼟に翻弄される。
その過程は地層のように時間や環境の集積だ。⼀層⼀層が、過程であり歴史であり、過去の記憶だ。
しかしそれは熱によって簡単に溶け出してしまう。
隣り合う層に影響を与え、⻲裂を作り原形をとどめない。
指跡や指紋を頼りに振り返ってみても、縮みきったそれは、この⼿のそれとはまるで違う。
⼒強く繊細に、複雑だが混じり気のないその姿は、不確かさに最⼩限の輪郭を与えるようで⼼強く美しい。──中井波花(プレスリリースより)
展示風景より、《肖々-Cu-》
展示風景より、《勿-C-》と《肖々-C-》
展示風景より、Limited edition esker cup JUST FOR FUN

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