フォーカスするのは「顔」。ジャン=フィリップ・デロームがペロタン東京では初の個展を開催

東京・六本木のペロタン東京で、同ギャラリー初となるジャン=フィリップ・デロームの個展「visage(s)」が開催。パリのアトリエで古典的なポーズをとったモデルたちを描いた一連の新作肖像画を発表される。会期は8月31日〜10月14日。

ジャン=フィリップ・デローム Fransiska with My Bloody Valentine teeshirt 2023 キャンバスに油彩、ウッドフレーム Courtesy of the artist and Perrotin.

 六本木のペロタン東京で、同ギャラリー初となるジャン=フィリップ・デロームの個展「visage(s)」が開催される。会期は8月31日〜10月14日。

 ジャン=フィリップ・デロームは 1959年生まれ。風景画、静物画、肖像画といった古典的なアプローチを通して表現の歴史を継承するアーティストだ。その作風は、写真に頼ることなく直に被写体を観察し、一度に描き上げるもの。移り変わる光による儚い雰囲気の風景やスタジオを訪れたモデルの一時的な存在など、「いま、ここ」をとらえている。

ジャン=フィリップ・デローム Flowers 2023 キャンバスに油彩、ウッドフレーム
Courtesy of the artist and Perrotin.

 本展では、パリのアトリエで古典的なポーズをとったモデルたちを描いた一連の新作肖像画を発表。本展タイトル「visage(s)」はフランス語で「顔」を意味するもの。デロームの絵画が身体よりも顔に焦点を当てていることを強調しており、デロームは「顔は、傷つきやすさ、もろさ、変化が表れる。風景が光によって変化するように、顔は日々変化し、ポーズをとっている間にも変化するものです」とのコメントを寄せている。

 今回、ペロタン東京で発表される作品群は、黒に近い濃単色の背景を使用したもの。17世紀オランダにみられる暗色の背景にモデルを配した肖像画を尊重し、こうした配色を本展のために採用したという。

ジャン=フィリップ・デローム Reclining Léa 2023 キャンバスに油彩、ウッドフレーム
Courtesy of the artist and Perrotin.
ジャン=フィリップ・デローム Sofia holding Verve with George Braque cover 2023 キャンバスに油彩、ウッドフレーム
Courtesy of the artist and Perrotin.

 なお本展開催に併せてデロームは、詩と黒色インクのドローイングによる書籍『Studio Poems』も刊行。自身が1990年代初頭に初来日した際に持ち歩いていた、谷崎潤一郎『陰翳礼讃』の美学に敬意を表したという1冊に注目だ。

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