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3年の大改装を終えたロンドンのナショナル・ポートレイト・ギャラリー。注目ポイントをおさらい

歴史上の人物や文化人、セレブリティらのポートレイトだけを展示というユニークさに加えて、市内中心部に位置するロケーションの良さで観光客にも人気が高いナショナル・ポートレイト・ギャラリー。2020年3月のパンデミックによる最初のロックダウンでその扉を閉ざし、以降は改装のための休館が続いていたが、3年の月日を経てようやく新たな姿が公開された。その様子をレポートでお届けする。

文=坂本みゆき

新たな展示室に設置される、エリザベス1世の戴冠式時のポートレイト ©︎David Parry

トレーシー・エミンの扉を備えた新エントランス

 1896年の開館以来最も大規模な改装を終え、6月22日にロンドンのナショナル・ポートレイト・ギャラリーが再オープンした。改築はジェイミー・フォバート・アーキテクツと歴史的建築物を専門とするパーセルが手がけた。なお今回の大改装は、ブラヴァニック・ファミリー基金、宝くじヘリテージ基金、ガーフィールド・ウェストン基金、ロス基金が主な出資元となっている。

新たな正面玄関 ©︎Forbes Massie

 ギャラリーの顔ともいえるメインエントランスは、かつての東側の大通りセント・マーチンズ・プレイス沿いから北側に移動。ロス・プレイスという名の広場に面してゆったりとしたファザードを構え、3つの入り口にはトレーシー・エミンによる扉《ザ・ドアーズ》を設置した。エミンが描いた45人の女性たちの肖像をブロンズに鋳造したパネルがはめ込まれており、同ギャラリーの新しい時代の象徴となっている。

トレーシー・エミンによる《ザ・ドアーズ》(2023) ©︎Oliver Hess
トレーシー・エミンによる《ザ・ドアーズ》(2023) ©︎Oliver Hess
イーストロンドンのスタジオで製作中のトレーシー・エミン  ©︎Harry Weller
「特定の人物を描きたくはありませんでした。ナショナル・ポートレート・ギャラリーのドアは、すべての年齢の、すべての時代におけるすべての文化を持つ、すべての女性を物語るものにしたかったのです」とエミン ©︎Tracey Emin

 スペースは4フロア、33の展示室に分かれている(建物の階数表記はイギリス式に、日本の1階を地上階とし、2階を1階、3階を2階、4階を3階としている)。そのなかで多くの人が最初に訪れるのは、メインホールを抜けた先の右手に位置する「ヒストリー・メーカーズ」と名付けられた一角だろう。新王チャールズのバストアップのポートレイトを筆頭に、アスリートからミュージシャン、作家などいまのイギリスを代表するホットな面々の顔が並ぶ。

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