秘匿性を帯びた暗号的な作品。泉太郎のドローイング展がSUNDAYで開催中

東京オペラシティ アートギャラリーでの個展が開催中の泉太郎。そのドローイング展が、池尻のSUNDAYで2⽉21⽇まで開催されている。

泉太郎 reaction order, 曇り (部分) 2023 紙、鉛筆、インク、古いファイルの表紙、クリアーファイルリフィル、金具、紐 、他 © Taro Izumi

 東京オペラシティ アートギャラリーで個展「Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx」が3⽉26⽇まで開催中のアーティスト・泉太郎。そのドローイングに特化した個展「毎晩、紙があります」が東京・池尻のSUNDAYで2⽉21⽇まで開催されている。

 泉太郎は1976年奈良県⽣まれ。2002年多摩美術⼤学⼤学院美術研究科修⼠課程修了。これまで「コドクエクスペリメント」(2022、Take Ninagawa)、「ex」(2020、ティンゲリー美術館)、「Pan」(2017、パレ・ド・トーキョー)、「突然の⼦供」(2017、⾦沢21世紀美術館)などの個展を開催。また国内外のグループ展、国際展にも積極的に参加してきた。

 そんな泉が幼少の頃、⽇々取り組んでいたのは、化学者・教諭の⽗が仕事で使った⽅眼紙や藁半紙の裏に線描することだったという。本展で発表される新作《reaction order , 曇り》は、⽗からもらい受けた古いファイルの表紙と、泉が「⻑年の思索のお供だけれど、やがて考えを追い越すための他⼈どうし」というドローイングを組み合わせたもの。

 これまで⼈⽬に触れることの少なかったドローイングと、⻑年書斎で保管されるうちに少しずつ変化してきたファイルの表紙という、極めて個⼈的な環境の中で⼈知れず育ってきた⼆つの物体が混合されることで、秘匿性を帯びた暗号的な作品となっている。

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