鏑木清方の没後50年という節目の年に開催される「没後50年 鏑木清方展」(3月18日~5月8日、東京国立近代美術館)において、《ためさるゝ日》(左幅)が30年ぶりに公開されることが決定した。
《ためさるゝ日》は、江戸時代の長崎での踏絵を題材にしたもので、すでに年中行事となった踏絵に着飾ってのぞむ遊女を描いた作品。1918年の第12回文展に向けて左右対幅の作品として描かれたものの、展覧会には左幅だけが出品されたという経緯がある。左幅が最後に公開されたのは、1992年に行われた「没後20年記念鏑木清方展」となっており、今回の出品は30年ぶりとなる。
本展では、92年に出品されなかった右幅(鎌倉市鏑木清方記念美術館蔵) も展示。左右あわせての公開は1982年の「鏑木清方展」以来、40年ぶりのこととなる。なお、展示期間は左幅が3月18日~4月17日、右幅が3月18日~4月3日。
清方は1918年1月から1925年12月までの作品には3段階の自己採点をつけており、この《ためさるゝ日》は「会心の作」とされている。自己採点のついた約500点の作品のうち「会心の作」はわずか16点。そのほとんどが現在は所在不明であり、本展出品作品のなかでも、自己採点のついた作品23点のうち、「会心の作」は、《遊女》(1918)、《春の夜のうらみ》(1922)と、この《ためさるゝ日》の3点となる。
「没後50年 鏑木清方展」では、《築地明石町》《新富町》《浜町河岸》の三部作をはじめとする109件の日本画が出品される。