「没後50年 鏑木清方展」が東京と京都の国立近代美術館で開催へ。110点超の日本画作品のみで構成

美人画によって広く名が知られる日本画家・鏑木清方。その没後50年を記念した大規模回顧展「没後50年 鏑木清方展」が、東京国立近代美術館と京都国立近代美術館で開催される。

 明治から昭和にかけて、江戸の情緒香る美人風俗を描いた挿絵画家・日本画家、鏑木清方(1878〜1972)。その没後50年を記念した大規模回顧展「没後50年 鏑木清方展」が、東京国立近代美術館と京都国立近代美術館で開催される。会期は2022年3月18日〜5月8日(東京展)、5月27日〜7月10日(京都展)。

 鏑木清方は13歳のとき、父の勧めに従い、歌川国芳の孫弟子に当たる浮世絵師・日本画家の水野年方に入門し、挿絵画家を目指した。挿絵の依頼を受けるようになり始めた1897年、挿絵画家のグループ・紫紅会を結成。1901年には紫紅会の仲間と烏合会を結成し、同会で《一葉女史の墓》(1902)など文学作品に取材した作品を発表。1916年、平福百穂、結城素明らと金鈴社を創立(22年に解散)。1925年には第6回帝展に《朝涼》を無鑑査出品し、翌々年の第8回帝展では《築地明石町》で帝国美術院賞を受賞するなど高い評価を得ていた。展覧会で鑑賞する「会場芸術」や、掛け幅などの「床の間芸術」に対して、手元で楽しむ「卓上芸術」を提唱したのが清方だ。

 東京国立近代美術館では、清方の代表作として知られながら1975年以来所在不明であった《築地明石町》(1927)と、あわせて三部作となる《新富町》《浜町河岸》(ともに1930)の3点を2019年に収蔵した。本展ではこの三部作を、両会場とも会期中展示替えなしで見ることができる。

 また本展では、挿絵の展示はされず、初公開作品を含む110点超の日本画のみで展示を構成。美人画のみならず、清方自身が決して高く自己評価していなかった作品もラインナップされているという。

 なお展示構成は東京と京都で異なり、東京展では清方芸術を「生活をえがく」「物語をえがく」「小さくえがく」の3つに分けて紹介。いっぽうの京都展では全作品を制作年順に並べ、その作風の変化をたどるものとなる。

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