あいちトリエンナーレ2019で展示され、大きな話題を集めたモニカ・メイヤーの《The Clothesline》。この単独展示が、愛知県の刈谷市総合文化センターで始まった。
《The Clothesline》は、セクシャルハラスメントや性暴力の経験・日常の中で見つけた格差や差別など、社会的に表には出づらい「声なき声」を可視化する参加型アートプロジェクト。プロジェクトでは来場者に対して「あなたもしくは、あなたの身近でセクハラ・性暴力がありましたか? それはどのようなものでしたか?」などの質問が投げかけられ、それに対する答えをカードに記入。回答は匿名で掲示される。
あいとり2019では、芸術監督・津田大介がジェンダー平等を掲げ、参加作家の男女比を同等にするという画期的な試みがなされた。本作は、そうした芸術祭を象徴する作品のひとつだった。
今回の展示は、《The Clothesline》を日本で開催している団体「Our Clothesline with Monica Mayer」によるもので、同団体によると、刈谷市で昨年オンライン開催された日本女性会議に合わせ、本展の開催も決まったという。
刈谷市の展示では、あいトリ2019で集められた約2500枚の一部と、フラワーデモやトリエンナーレ後に開催されたthe Clotheslineで集められた約1000枚を展示。あいトリ後に《The Clothesline》がどのように国内で展開されてきたのかをたどることもできる。また今回はモニカ・メイヤーよりコロナ禍の情勢を取り入れた質問をつくるようアドバイスを受け、新たな質問が増えたという。コロナ禍という困難によって新たに浮き彫りになったジェンダー格差や性被害の声を可視化する試みに注目だ。
なお《The Clothesline》は毎月11日に開催されているフラワーデモナゴヤでも開催。気になる方はこちらにも足を運んでみてはいかがだろうか。