大型インスタレーションに注目。「カミーユ・アンロ|蛇を踏む」(東京オペラシティ アートギャラリー)
カミーユ・アンロは、フランスを代表する現代アーティストのひとり。映像、彫刻、ドローイング、インスタレーションなど様々なメディアを駆使した作品を発表し、2013年には映像作品《偉大なる疲労》で第55回ヴェネチア・ビエンナーレの銀獅子賞を受賞。そんなアンロの日本初となる大規模個展「蛇を踏む」が、初台の東京オペラシティ アートギャラリーで10月16日、開幕した。
本展では活動の初期から描き続けるドローイングや、11年から継続的に発表する「革命家でありながら、花を愛することは可能か」を展示。同シリーズは、今回特別にいけばな草月流の全面的な協力を得て制作されたものだ。
なかでも注目したいのは、アフリカ・ドゴン族の創世神話に関する著作とドイツの哲学者・ライプニッツの原理を端緒に、宇宙の成り立ちや人間の生、世界の秩序と多義性を、空間全体を使って考察・構成した重層的なインスタレーション作品《青い狐》と、同作と双子のような関係にあるという前述の《偉大なる疲労》。待望の日本初個展を、逃さずチェックしたい。
会期:2019年10月16日〜12月15日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:03-5777-8600
開館時間:11:00〜19:00(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
料金:一般 1200円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料
災害と祝祭の国。「TOKYO 2021」(TODA BUILDING 1F)
超高層ビルへの建て替えを控えた東京・京橋の戸田建設本社ビルでは、東京オリンピック・パラリンピック以降の日本を考えるためのアートイベント「TOKYO 2021」が開催中。そのなかの美術展「un/real engine――慰霊のエンジニアリング」が、10月20日に閉幕する。
黒瀬陽平がキュレーションを務める本展は、「SiteA 災害の国」と「SiteB 祝祭の国」の2つのエリアから構成されている。「SiteA 災害の国」のテーマは災害と慰霊。カオス*ラウンジをはじめ、八谷和彦、会田誠、飴屋法水、磯村暖、宇川直宏、SIDE CORE、高山明、竹内公太などのアーティストによる作品を見ることができる。
いっぽう「SiteB 祝祭の国」の入口で鑑賞者を迎えるのは、檜皮一彦による作品。正面に岡本太郎《太陽の塔》の顔を取り付けた同作の裏側には、盆踊りをテーマにした弓指寛治の作品が並ぶ。そのほかにも、2025年に開催予定の「大阪・関西万博」の翌年を示す「2026」という数字を瓦礫でつくり出した藤元明や、足元に水が迫ってくるような空間を生み出したHouxo Queなどによる、解体前の会場を活かした作品も必見だ。
会期:2019年9月14日〜10月20日
会場:TODA BUILDING 1F
住所:東京都中央区京橋1-7-1
料金:無料
※「SiteB」入場にはウェブでの事前登録が必要。詳細は公式ウェブサイトを参照
画業の連続性を追って。「没後90年記念 岸田劉生展」(東京ステーションギャラリー)
交流のあった人々を描いた肖像画や、娘・麗子を描いた作品、風景画などで知られる岸田劉生(1891~1929)。その画業の始めから終わりまでを約172点の作品で追う「没後90年記念 岸田劉生展」が10月20日、東京ステーションギャラリーで閉幕する。
本展の冒頭では、友人や自身を描いた肖像画のほか、風景や静物を描いた作品の数々を紹介。なかでも注目したいのは、油彩だけでなく水彩や木炭を用いて、その成長の節目を写し取るように描かれた様々な「麗子像」だ。加えて、東洋古美術の収集に没頭していた晩年の劉生が描いた日本画も見ることができる。
写実的な作品群を経て「東洋の美」に目覚め、新たな境地を目指す矢先に38歳で生涯を閉じた劉生。丁寧にその人生と画業をたどる本展をお見逃しなく。
会期:2019年8月31日〜10月20日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:03-3212-2485
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00)※入館は閉館30分前まで
料金:一般 1100円 / 高校・大学生 900円 / 中学生以下無料