EXHIBITIONS

没後90年記念 岸田劉生展

2019.08.31 - 09.23, 2019.09.25 - 10.20

岸田劉生 麗子肖像(麗子五歳之像) 1918年10月8日 東京国立近代美術館蔵

岸田劉生 路傍秋晴 1929年11月 吉野石膏株式会社蔵

岸田劉生 黒き土の上に立てる女 1914年7月25日 似鳥美術館蔵

 日本の近代美術の歴史において、もっとも独創的な絵画の道を歩んだ画家・岸田劉生。1891年、明治の先覚者・岸田吟香を父として東京・銀座に生まれ、当初はキリスト教会の牧師を志した。しかし独学で水彩画を制作するなかで画家になることをすすめられ、黒田清輝が主宰する白馬会葵橋洋画研究所で本格的に油彩画を学んだ。

 雑誌『白樺』で紹介された後期印象派の画家たちの作品に衝撃を受けた岸田は、1912年に斎藤与里、高村光太郎、萬鐡五郎らとともに「ヒユウザン会」を結成。強烈な色彩と筆致による油彩画を発表した。また15年には、木村荘八、椿貞雄らとともに「草土社」を結成し、とりわけ椿がその画風を受け継ぐなど、当時の若い画家たちに影響を与えた。

 その後、ミケランジェロやデューラーらの西洋古典絵画を研究し、徹底した細密描写による写実表現で独創的な画風を確立。そして最愛の娘・麗子の誕生をきっかけに、自己のなかの究極の写実画を目指し、素描や水彩画、日本画にも真摯に取り組んだ。しかし、新しい油彩画を探究し始めた29年、満洲旅行から帰国直後に体調を崩し、38歳で世を去った。

 本展では、岸田の活動初期から最晩年までの名品が一堂に集結。劉生の作品を多数収蔵する東京国立近代美術館から《道路と土手と塀(切通之写生)》(重要文化財)、また修復を終えた《B.L.の肖像(バーナード・リーチ像)》《壺の上に林檎が載って在る》《麗子肖像(麗子五歳之像)》などを含む約150点以上の作品を、ほぼ制作年代順に展示し、画業の変遷をたどる。(会期中、一部展示替えあり)