カミーユ・アンロは1978年フランス生まれのアーティスト。映像、彫刻、ドローイング、インスタレーションなど様々なメディアを駆使し、その作品は文学、哲学、美術史、天文学、人類学、博物学、デジタル化された現代の情報学など多岐にわたる膨大なリサーチに基づき生み出される。
2013年には、映像作品《偉大なる疲労》で第55回ヴェネチア・ビエンナーレの銀獅子賞を受賞。17年にはパレ・ド・トーキョー(パリ)で全館を使った個展「carte blanche」(全権委任・自由裁量)の開催権を与えられた史上3人目の作家となり、現代美術の世界で大きな注目を集めている。
そんなアンロの日本における初の大規模個展が「蛇を踏む」だ。
本展では、大型のインスタレーション作品を含めた作家のこれまでと現在を総合的に展示。日本のいけばなに触発され、2011年から継続的に制作されているシリー ズ「革命家でありながら、花を愛することは可能か?」では、草月流の全面的な協力を得て会場で作品を制作するという。
また、アンロの興味の対象、思考の過程に直に触れることができるものとして、作家活動の初期から描き続けられているドローイングも展示。このほか、アフリカ・ドゴン族の創世神話に関する著作とドイツの哲学者、ゴットフリード・ライプニッツの原理を端緒に、宇宙の成り立ちや人間の生、世界の秩序と多義性を、空間全体を使って考察・構成した重層的なインスタレーション《青い狐》(2014)、そして上述の《偉大なる疲労》などが並ぶという。