菅実花展「The Ghost in the Doll(人形の中の幽霊)」が原爆の図 丸木美術館で開催中。様々な背景を持つ女性たちの思いを「死後記念写真」になぞらえる

ラブドールを妊婦姿で撮影した作品《The Future Mother》で注目を集めるアーティスト・菅実花の個展「The Ghost in the Doll(人形の中の幽霊)」が、埼玉県東松山市の原爆の図 丸木美術館で開催されている。会期は7月15日まで。

菅実花 Pre-alive Photography 2019

 菅実花は1988年神奈川県生まれ。2013年に東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業し、16年に同大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻を修了した。現在、同大学院博士後期課程に在籍している。

 14年より、ヒューマノイドロボット開発にも応用されているラブドールの妊娠を描くことで、人間と非人間の境界を問いかけるアートプロジェクト「Do Lovedolls Dream of Babies?」に着手。ラブドールを妊婦姿で撮影した作品《The Future Mother》を発表し、注目を集めた。

菅実花 Pre-alive Photography 2019

 そんな菅の個展「The Ghost in the Doll(人形の中の幽霊)」が、埼玉県東松山市の原爆の図 丸木美術館で開催されている。本展では、19世紀のヨーロッパで流行した、故人を生きているかのように演出し、湿板写真で記録する「死後記念写真」の手法を用いながら、等身大の精巧な乳児人形「リボーンドール」を撮影した新作《Pre-alive Photography》を中心に発表。

 「死後記念写真」では死亡率の高い乳幼児を撮影した事例が多く見られたいっぽうで、近年では子供を亡くした母親や不妊治療に苦しんだ女性たちによる、子供の代わりとしての人形「リボーンドール」が人気を集めているという。同作を通じて菅は、様々な背景を持つ女性たちの思いが託される「リボーンドール」を、「死後記念写真」になぞらえながら人形に生命を見出すことを試みる。

菅実花 Pre-alive Photography 2019

編集部

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