2018年に開館45周年を迎えるベルナール・ビュフェ美術館(静岡・長泉)。同館ではそれを記念して、「開館45周年記念展 絵画と想像力 ベルナール・ビュフェと丸木位里・俊」を開催する。
ビュフェと丸木夫妻は戦後、第二次世界大戦の記憶を描き、人々に影響を与えたという共通点を持つ。本展では、丸木夫妻の《原爆の図 第三部 水》とビュフェの2作の《キリストの受難》をあわせて展示するという初の試みを行うほか、同館創設者・岡野喜一郎が初めてコレクションした作品などを紹介し、これまで検証されてこなかったビュフェと戦争の関係を探る。
また会場では、洋画家・俊が描いた絵本原画や墨絵画家・位里による牛馬、人体デッサンなどを展示。《原爆の図》に活かされた人間や自然に対するまなざしをとらえつつ、共同制作以外の作品にも目を向ける。同時に、写真家・本橋成一による写真を展示し、「《原爆の図》の画家」「反戦画家」としての丸木夫妻ではなく、「人間」「いのち」を見つめ続けた二人の姿を浮かび上がらせる。
戦時の感情を自身の記憶と主観にもとづいて描いたビュフェと、被爆者たちの声を聞き、一人ひとりの物語を《原爆の図》に表現した丸木夫妻。3人は、痛みや絶望、人間性の喪失を、想像力によって描き出した。本展は、絵画が持つこうした想像力を感じさせ、共有する場所となるだろう。