丸木俊の戦後の名作《解放され行く人間性》を着想源に。東京国立近代美術館がセクシャリティを問う小企画を開催

竹橋の東京国立近代美術館が、《原爆の図》などで知られる洋画家・丸木俊による裸婦像《解放され行く人間性》(1947)を、同館のコレクションに新しく収蔵した。今回その作品とタイトルに着想を得た、セクシャリティを問う小企画「解放され行く人間性 女性アーティストによる作品を中心に」をギャラリー4で開催する。会期は6月18日〜10月20日。

丸木俊(赤松俊子) 解放され行く人間性 1947

 2019年、丸木俊(1912〜2000)が描いた裸婦像《解放され行く人間性》(1947)をコレクションとして新収蔵した東京国立近代美術館。今回同館では、その作品とタイトルに着想を得た小企画「解放され行く人間性 女性アーティストによる作品を中心に」が開催される。

 丸木は北海道に生まれ、女子美術専門学校(現・女子美術大学)を卒業後、外交官の家庭教師としてモスクワに滞在。日本の統治下にあった「南洋群島」を巡った経験をもとに、異国情緒あふれる油彩画や絵本を数多く手がけた画家だ。

 最初のコーナーには、20世紀初頭および1950年代の男性画家による女性像と、戦後から50年代にかけての女性アーティストの作品を展示。その後、60年代から70年代にかけての抽象美術、そして女性の役割に焦点を当てた70年代の映像作品や、身体の美しさを再考するための80年代の写真などが続くという。

 この小企画は、丸木をはじめ展示作品のほとんどが女性アーティストによるものであるが、ところどころにセクシャリティを問う男性アーティストの作品も展示される。

 丸木が描いた《解放され行く人間性》は、戦後間もない47年に発表された。光が差すほうを見上げる裸婦の姿から、戦中という抑圧された時代の闇をくぐり抜け、ようやく本来の人間性を取り戻せた喜びと希望を感受したい。

編集部

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