「KOGEI」を世界にさらに打ち出していくために
──プロデューサー育成以外に、日本がKOGEIを世界へ広げていくために必要なことはありますか。
山口 様々あると思いますが、ひとつは「現代から過去へ遡っていく」という見せ方が必要ではないでしょうか。現代のKOGEIから入り、そこから縄文まで遡っていくという考え方です。なぜなら、現代のKOGEIにも、日本が伝統的に培ってきた美意識や技術が含まれていることが非常に多いからです。それは表面的に作品を見ただけではわかりにくいかもしれません。しかし、どのような技術が使われ、どのような歴史的背景から生まれてきたのかを知れば知るほど、さらにその先を知りたくなる。
例えば、葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》も、まずは平面作品としてその造形に惹かれると思います。そのうえで、制作の背景を知っていけば、そこには非常に工芸的な技術があることがわかります。そうすると北斎だけでなく、ほかの浮世絵にも興味が広がっていく。
現代のKOGEIも同じように、日本の文化や歴史へと関心を広げる入口になりうる。そういう意味で、KOGEIには日本文化全体を表象するものになっていく可能性があると思います。

──海外で評価されたあとに日本で再評価されるという、いわば「逆輸入」ではなく、日本国内で価値をつくり、それを世界へ発信することも重要ですね。
山口 そうなんです。よく「真の国際人とは、自国の文化をきちんと他国の人に伝えられる人だ」と言います。これはアートの世界でも同じだと思っています。
僕自身も含め、日本人は日本の歴史についてまだまだ勉強が足りない。でも、長い歴史のなかにあったものが、いま現代美術や現代工芸としてどのように集約されているのか。それを僕たち自身が知る必要があります。
そして、それを日本から世界へ発信する。さらに海外の美術館が展覧会を開けば、そこで外国人から見た新しい視点も生まれてくる。そうしてマーケットや研究がまた醸成されていくのだと思います。
──最後に、若い世代の日本人作家がKOGEIの文脈で世界市場へ出ていくために、何が必要だと思いますか。
山口 まず、いま世界で注目されているデザインと現代美術を学んでほしいです。そこには大きなヒントがたくさんあると思います。そのうえで、日本の工芸的な技術や美意識をいかに現代の表現へ転化していくのかを考えてほしい。
日本には長い歴史があり、縄文以来、様々な造形や美意識が育まれてきました。そして日本には、古いものを大切にするいっぽうで、外国から来たものを柔軟に受け入れてきた歴史もあります。伝統的なものに、いま世界で起きている現代美術的な動きを取り入れていく。これは、日本人が得意としてきたことでもあると思います。そこに、これからの現代工芸作家の可能性があるのではないでしょうか。



















