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なぜいま世界は「KOGEI」に注目するのか? クリスティーズジャパン・山口桂が語る、日本工芸を世界に売り込む戦略【2/4ページ】

「使うもの」から「コレクションするもの」へ

──KOGEIはいま、海外で「コレクションするもの」として評価されるようになっています。この変化をどう見ていますか。

山口 日本の工芸品は、もともと「使うもの」でした。それがいま、「飾って見る」という楽しみ方も持つようになってきています。

 例えば竹工芸の花入れなら、実際に花を入れて使うこともできる。しかし花を入れなくても、彫刻のように鑑賞に耐えうる作品がある。そこが重要です。

 「使うもの」は古くなれば新しいものに買い替える。でもコレクションはそうではなく、買い増していくものです。そういう意味で、現代のKOGEIは「コレクションになりうる工芸」なのだと思います。

──海外のコレクターは、日本のKOGEIのどのような部分に価値を見出しているのでしょうか。

山口 ひとつは、日本人が伝統的に持ってきた美意識です。それがなければ、ほかの国の似た表現との差別化が難しい。

 よく言われるミニマリズムのような感覚もそうですし、竹や土といった自然素材の多様さもあります。そしてもうひとつ大きいのは、従来の日本工芸とは異なり、現代の居住空間に合う造形になってきているということです。海外のコレクターにとって、これは非常に重要です。日本文化や思想に興味を持って作品を見る人もいれば、純粋に造形を見て「自分の家に置きたい」と考える人もいる。

 いままでは、そもそもそうした作品を見る機会が少なかった。それがオークションハウスのデザイン部門に登場したり、美術館で展示されたり、アートフェアに出たりするようになったことで、知られる機会が増えてきたのだと思います。

国際的に高い評価を得ている四代田辺竹雲斎による、成田空港のインスタレーション《空の環》(2026) 撮影:編集部

──工芸とファインアートには、価格面でも大きな差があると言われてきました。その背景には何があるのでしょう。

山口 「作家性」は大きいと思います。誰がつくったかがわかっていて、その人がつくったものだから芸術作品として評価するという考え方ですね。

 ただ、日本には少し違う美意識もあります。桃山時代の素晴らしい焼き物なら、作者の名前がわからなくても「素晴らしいものは素晴らしい」と考える。日常で使う道具であっても美術品になりうるわけです。

 ただ世界のマーケットを見ても、家具とファインアートの境界も曖昧になっていますし、工芸的な作家の作品が現代美術のマーケットで扱われることもある。日本の工芸に限らず、あらゆる分野で少しずつ境界を取り払っていく動きがあるのかもしれません。

編集部