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読者が選ぶ2024年のベスト展覧会。トップは「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」

ウェブ版「美術手帖」では、2024年に開催された展覧会のなかからもっとも印象に残ったものをアンケート形式で募集(集計期間:12月18日〜25日)。約200件の結果を集計し、寄せられたコメントとともに結果を発表する(対象展覧会は今年行われたもの。昨年から会期がまたぐものも含む)。

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」展より

1位:「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」展(東京都美術館)

 2024年のアンケート結果は比較的僅差となったが、そのなかでも、ウェブ版「美術手帖」読者の心をもっとも掴んだのは、東京都美術館の「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」展(2024年9月19日〜12月1日)だった。

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」展示風景より

 生前、作品発表の機会に恵まれなかった一村だが、2010年には「田中一村 新たなる全貌」が千葉市美術館、鹿児島市立美術館、田中一村記念美術館で開催され、大きな話題を呼んだ。また生誕110年となる18年には、「生誕110年 田中一村展」(佐川美術館)、「初公開 田中一村の絵画 ―奄美を愛した孤高の画家― 」(岡田美術館)、「生誕110年 奄美への路Ⅱ 田中一村展」 (田中一村記念美術館)などが開催された。

 本展は、一村が神童と呼ばれた時期から奄美の地で描かれた最晩年までの全貌を、田中一村記念美術館の所蔵品をはじめとする約250件以上の作品で紹介するもの。この展示作品数は、これまでの東京都美術館企画展において最多。一村の「不屈の情熱の軌跡」を見ることができる貴重な機会となった。なお、入場者数では28万人以上を記録している。キュレーターインタビューもあらためてチェックしてほしい。

何故その存在をこれまで自分は知らなかったのだろうと一作品一作品見進めるごとに思うほど多彩で魅力的な作品が詰まった展覧会で、最後のニ作品の間を通って会場を後にするときにはすっかり田中一村という人に魅了されました。そして自分だけでなく居合わせた来場者皆が同じようにがどんどん魅了されていくのを肌で感じる稀有な展覧会であったと思います。
こんなにも絵の生命力に圧倒されたことは初めてでした。構図も独特で面白かったです。一番の理由は、世界を見る目が愛にあふれていたことです。晩年の作品までも瑞々しくて純朴な絵に感じました。本当に見ることができてよかったです。生きる勇気を貰いました。
ついに一村の作品を生で目にすることが出来た喜びが一番です。岩絵具の質感などやはり画集では把握できない情報を改めて知ることができました。また、幼少期の神童ぶりや、奄美の人々との交流など、作品を通して一村の人物像を体感することができたと思います。改めて奄美大島の一村記念館に行ってみたくなった展覧会でした。
東京に錦を飾る大回顧展の展覧会。やっと希望が叶って、他人ながら感慨深い。私が知ったのも数年前の千葉市美術館での展示。一村の画業をじっくり鑑賞できた。一人でも多くの人に一村という画家がいたことと、彼の作品の美しさを知ったもらいたいと思った。

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