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2019.12.31

読者が選ぶ2019年展覧会ベスト3。トップは「あいちトリエンナーレ2019」

美術手帖では、2019年に開催された展覧会のベスト3をアンケート形式で募集。その結果を集計し、それぞれに寄せられたコメントとともに発表する。

 

あいちトリエンナーレ2019より、モニカ・メイヤー《Clothline》(2019)
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1位「あいちトリエンナーレ2019」(愛知芸術文化センターなど)

あいちトリエンナーレ2019より、ジェームズ・ブライドル《ドローンの影》(2019)

 今年、もっとも多くの注目を集めたものといえばやはり「あいちトリエンナーレ2019」だろう。

 「表現の不自由展・その後」展示中止や、それに関連する海外作家たちの展示中止・展示内容変更などがありながら、それに反応するReFreedom_Aichiなどの運動体が生まれ、つねに動きがある芸術祭となった。芸術監督・津田大介が設定した「情の時代」というテーマのもと、国内外から参加した90組以上のアーティストたちの作品は、様々な切り口によって現代社会が抱える問題を提起したと言える。

展示中止の作品も多いなか、美術とは美術館とは、表現とは鑑賞とはを大いに考え、実質的に日本における美術の分岐点となった。  
作品だけでなく、「アートプレイグラウンド」という常設の多様な鑑賞サポートがあり、作品の楽しみ方が広がった。
今まで美術や芸術に興味がなかった私でも行ってみたいと思い、初めて自分の意思で行った展覧会でした。表現の自由とのことでしたが一部見られない箇所もあり、非常に残念でした。次回は全部の作品を見たいです!
何よりも“生きた”芸術祭でした。 日々の変化から、また個々の作品からいったいどれだけの学びがあったか… 日本における被害だけでなく加害の歴史、普段は遠くて目の届かない南米や中東などの諸問題を深く咀嚼するきっかけにもなりました。
テーマに沿って幅広い視点からの作品が選ばれており、バランスの良さを感じた。「今」を切り取る展覧会という部分でもたくさんのフックがあり新鮮だった。 
あいちトリエンナーレ2019より、ウーゴ・ロンディノーネ《孤独のボキャブラリー》(2014-16)

2位「クリムト展」(東京都美術館・豊田市美術館)

展示風景より、グスタフ・クリムト《ベートーヴェン・フリーズ(原寸大複製)》(1984)の一部

 19世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムトによる、日本では過去最大規模の個展が2位にランクイン。

 東京都美術館と豊田市美術館を巡回した同展では、過去最多となる約25点以上のクリムトの油彩画が出品。クリムトが金を使った初の作品でもある代表作《ユディトⅠ》(1901)や、《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》(1899)などの官能的な作品とともに、第14回ウィーン分離派展のために壁画として制作された《ベートーヴェン・フリーズ(原寸大複製)》(1984)も話題を集めた。

壁画の再現で圧倒されました。
日本でこれだけクリムトを堪能できる展覧会はもうないと思う。
見ているだけで不安になって元の世界に戻ってこられなくなってしまうようなクリムトの魅力が全開に出ていた展示だった。かなり混雑していたが自分の世界に入り込むことができた。また行きたいと思える展示会だった。

3位「サントリー オールフリーpresents BOUM! BOUM! BOUM!(ブン!ブン!ブン!)香取慎吾NIPPON初個展」(IHIステージアラウンド東京)

展示風景より、《BOUM! BOUM! BOUM!》(2019)

 3位にランクインしたのは、近年アーティストとしての活動を本格化させた香取慎吾の日本初個展「サントリー オールフリーpresents BOUM! BOUM! BOUM!(ブン!ブン!ブン!)香取慎吾NIPPON初個展」だ。

 同展は、円形劇場のIHIステージアラウンド東京を舞台に、Stage A、B、Cの3部で構成。これまで香取が「カルティエ ブティック 六本木ヒルズ店」や、香港の街中などで発表してきた作品をはじめ、ペインティングから立体、映像まで多種多様な作品が並んだ。「身体」をテーマにした新作群も含め、ボリューム満点の展覧会は多くのファンを魅了したようだ。

通常では考えられない、ステージ上に展示されたり、触れて感じられる作品があったり、アプリで作品が動き出したり…。全てが新鮮で楽しめました!
いままで観てきた個展と違い映像、音楽、アートを駆使したエンターテイメントだった。新しい美術展のあり方だと思う。
作品のパワーがすごかった。作品数の多さに驚き心の揺れ動きも見て取れて人間味にあふれていた。