「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2025」見どころレポート

京都の春を告げる芸術祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2025」が開幕。「HUMANITY」をテーマに多数のアーティストが参加する今回のハイライトをお届けする。

文・撮影=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

JR「JR, The Chronicles of Kyoto, 2024」(京都駅ビル北側通路壁面)「Printing the Chronicles of Kyoto」(京都新聞ビル地下1F階(印刷工場跡)& 1F)

 今回のKYOTOGRAPHIE 2025で象徴的な存在となるのが、フランス出身のJRによる大作「JR, The Chronicles of Kyoto, 2024」だ。JRは、道ゆく人に自分自身の認識と対峙するような問いを投げかける記念碑的なパブリック・アート・プロジェクトで世界的に知られる存在。なかでも、2017年よりスタートした市民参加型の大規模な壁画シリーズ「クロニクル」はとくに注目を集めている。

JR

 今回、多くの人々で賑わう京都駅の壁面という場所に、このシリーズをアジアで初めて展示。京都の様々な場所で移動式のスタジオを構え、505名の人々に声をかけてポートレイト撮影を実施。それらはコラージュされ、京都における人々の関係性や多様性を垣間見ることのできる、リアリティあふれる写真壁画作品となった。本作のみ、約半年にわたって展示が予定されている。

「JR, The Chronicles of Kyoto, 2024」展示風景

 JRは「このようなかたちで京都の駅でお披露目できることは非常に特別なこと。作品の中には参加者の色々なストーリーが組み込まれている。今後、どこか京都市内にパーマネントなかたちで常設できれば」と語る。

 また京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)と1階では、このクロニクルシリーズの過去作品とともに、今回の制作背景がわかるようなインスタレーションも展開。印刷工場跡では足場を組み、クロニクルから選んだ10名が巨大化して登場した。一人ひとりの声を聞くことで、クロニクルの世界により深く没入するような体験ができる。

京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)の展示風景
京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)の展示風景


編集部

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