1位「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(国立西洋美術館、国立国際美術館)
コロナ禍で開幕延期やスケジュール変更、予約制導入など大きな影響を受けた美術館の大型展覧会。1位に選ばれた「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」も例外ではなかった。
同展は、幅広い地域と時代のヨーロッパ絵画を網羅するロンドン・ナショナル・ギャラリーの約200年の歴史上初めてとなる、館外での大規模な所蔵作品展。当初は3月3日からの開催を予定していたが、コロナの感染拡大を受けて開幕は大幅に延期。結果的に国立西洋美術館での開幕は3ヶ月遅れの6月18日となった。
「西洋絵画の教科書」とも言われる同館のコレクションを、西洋美術史に沿った7つの章で紹介した同展。レンブラント《34歳の自画像》(1640)や、フェルメール《ヴァージナルの前に座る若い女性》(1670-72頃)といったオランダ絵画の名品や、イギリス肖像画、ベラスケスらによるスペイン絵画など、「すべての作品が初来日」という点は大きなインパクトをもたらしたようだ。
コロナで延期になりましたが奇跡の開催でした。すべてが門外不出、初めて鑑賞する名品、至高の数々。ゴッホの「ひまわり」は息をのむ迫力に満ちあふれていました。
61点すべてが日本初公開作品。展示の分類方法もわかりやすく、内容は充実していて、コロナ禍であっても人数と時間を制限して工夫して公開されたことは感謝している。
コロナの影響で展覧会の会期が延長されこのまま観れずに終わるのではないかと心配していた矢先に開会され人数制限をしながらようやくお目にかかれた名画の数々。美術館に行けない悲しみとコロナに恐怖するストレスを名画達が癒してくれました。コロナ時代を象徴する忘れられない展覧会だったように思います。
西洋美術史をたどる名作が揃い圧巻でした。イギリスの風景画の部屋も印象的だった。こんなに充実した展覧会は久しぶりでした。
2位「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」(東京都現代美術館)
2位の「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」(東京都現代美術館)も、コロナの影響で開幕が延期された展覧会だ。同展は、人間の知覚を問うインスタレーションや、環境問題についてのプロジェクトで知られるエリアソンの、日本では10年ぶりとなる大規模個展。
植物や木を用いたインスタレーション、光と幾何学に対する長年の関心が反映された彫刻、写真のシリーズ、公共空間への介入をめぐる作品など、その多くが日本初公開となった。
彼の作品を理解できることは、「今」を理解できていると言えるでしょう。鑑賞者は圧倒的な当事者となります。アートの力を思い知りました。
空間を最大限に使った、コロナ禍での展示に将来性を感じた。
美しさの中に深い問題提起があり、全てが印象に残る作品且つメッセージ性も強かったから。5歳の子供と伺いましたが、子供もまず作品に興味を持ち、さらには作品を通して社会問題にも関心を持ってくれました。年代を超えて伝わるのかなと感動しました。
自粛明けに1番に見に行った展示で、感動もひとしおだった。地球全体が異常事態であるいま、オラファーの作品が感じさせてくれるものすべてが、人間にとってとても意味深いものだと思ってしまいました。
3位「ピーター・ドイグ展」(東京国立近代美術館)
「画家の中の画家」と称され、イギリスが誇る現代アーティストであるドイグ。その日本初の大規模個展「ピーター・ドイグ展」が、3位にランクインした。
同展は開幕直後にコロナによる臨時休館という事態となったが、6月に再開。その後10月まで開催された。複数の大型作品が出品され、なかには幅3メートルを超える超大型作品などを展示された同展は、休館中にVRで展示風景が公開されるという珍しいケースとなった。バーチャルの可能性を感じるとともに、リアルな場で作品と対峙することの重要性をも示した展覧会となった。
大きな作品の前で放心状態、見れば見るほど違うものが見えてくる不思議な作品群でした。
新しい絵画の世界を見れた、という充足感に満ちた展覧会だった。会場の展示方法も見やすく、広々とじっくり展示品を味わえる動線になっていた。
画家の中の画家の名に相応しく大家の作風を自らの作品に取り入れるテクニックが見事。
ペインティングの底力を感じた。丁寧な作品解説も印象的だった。