夏休みに見たい展覧会ベスト(西日本編)

夏休みを利用して訪れたい、編集部が注目する展覧会を東京、東日本、西日本の3つにわけてピックアップ。ここでは西日本で見ておきたい展覧会ベスト31をまとめてご紹介する。

「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館、2024)展示風景より、村上隆《金色の空の夏のお花畑》(2023)(C)2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co.,Ltd. All Rights Reserved.

「Lines(ラインズ)─意識を流れに合わせる」(金沢21世紀美術館

展示風景より、大巻伸嗣《Plateau》(2024)

 金沢21世紀美術館が、今年元旦に発生した能登半島地震後、初めて展示室をオープン。展覧会「Lines(ラインズ)─意識を流れに合わせる」を開催している。レポート記事はこちら

 本展は、英国の人類学者であるティム・インゴルドの著作『ラインズ 線の文化史』(左右社、2014)からインスピレーションを得て構想されたもの。世の中に存在するすべてのものを「線」という視点から考察し、線が生活や人間関係をどのように形づくっているかを、作品を通じて考えようというもの。参加作家は、エル・アナツイ、ティファニー・チュン、サム・フォールズ、ミルディンキナティ・ジュワンダ・サリー・ガボリ、マルグリット・ユモー、マーク・マンダース、ガブリエラ・マンガーノ&シルヴァーナ・マンガーノ、大巻伸嗣、エンリケ・オリヴェイラ、オクサナ・パサイコ、ユージニア・ラスコプロス、SUPERFLEX、サラ・ジー、ジュディ・ワトソン、八木夕菜、横山奈美

会期:2024年6月22日~10月14日
会場:金沢21世紀美術館
住所:金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800
開館時間:10:00~18:00(金土〜20:00) ※観覧券販売は閉場の30分前まで
休館日:月(ただし7月15日、8月12日、9月16日、9月23日、10月14日は開場)、 7月16日、8月13日、9月17日、9月24日
料金:一般 1200円 / 大学生 800円 / 小中高生 400円 / 65歳以上 1000円

「おとなとこどもの自由研究 工芸の光と影展」(国立工芸館

展示風景より、小川雄平《陶製黒豹置物》(1933)

 石川・金沢の国立工芸館で、「おとなとこどもの自由研究 工芸の光と影展」が8月18日まで開催中だ。レポート記事はこちら

 本展は工芸作品における光と影の関係に注目するもの。会場では、3つの展示室ごとにテーマを設けており、光と影の在り方から工芸をあらためてとらえようとするもの。館内には大人と子供がそれぞれの鑑賞を楽しみ、深めるためのプログラムも用意されているので、ぜひ親子で出かけてほしい。

会期:2024年6月18日~8月18日
会場:国立工芸館
住所:石川県金沢市出羽町3-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:9:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし、7月15日、8月12日は開館)、7月16日
料金:一般 300円 / 大学生 150円 / 高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方と付添者1名 無料

「民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある」(富山県美術館

世田谷美術館「民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある」の展示風景より

 大阪中之島美術館世田谷美術館で開催された「民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある」が、富山県美術館に巡回する。

 いまから約100年前、思想家・柳宗悦は日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材やつくり手に思いを寄せる「民藝(民衆的工藝)」の重要性を説いた。本展はこの思想をテーマに、生活を彩る「衣・食・住」にまつわる様々な民藝品を日本民藝館の所蔵作品を中心に約150点展示。さらにその産地を訪ねることで、つくり手とその手仕事にもフォーカスするものとなっている。

会期:2024年7月13日~9月23日
会場:富山県美術館
住所:富山県富山市木場町3-20
電話番号:076-431-2711
開館時間:9:30〜18:00 ※入館は17:30まで
休館日:水(ただし8月14日は開館)、7月16日、9月17日
料金:一般 1300円 / 大学生 650円 / 高校生以下無料

「アブソリュート・チェアーズ」(愛知県美術館

 埼玉県立近代美術館で開催された「アブソリュート・チェアーズ」が愛知県美術館に巡回する。

 椅子は多くのデザイナーや建築家の創造性を刺激する絶対的なテーマであると同時に、アーティストにとっても魅力的なモチーフとなってきた。本展は、主に戦後から現代までの平面・立体・写真・映像・ダンスなど幅広いジャンルの作品約80点における「椅子なるもの」の表現に着目し、椅子という身近な存在から社会や人間の有り様を考察する。

会期:2024年7月18日〜9月23日日
会場:愛知県美術館
住所:愛知県名古屋市東区東桜1-13-2号
電話番号:052-971-5511
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし8月12日、9月16日、9月23日は開館)、8月13日、9月17日
料金:⼀般 1500円 / ⾼校・⼤学⽣ 1300円 / 中学⽣以下無料

「生誕130年記念 北川民次展 ――メキシコから日本へ」(名古屋市美術館

展示風景より、北川民次《トラルパム霊園のお祭り》(1930)

 名古屋市美術館で、メキシコで画家・美術教育者として活動した北川民次(1894〜1989)の回顧展「生誕130年記念 北川民次展 ――メキシコから日本へ」が開催される。レポート記事はこちら

 北川はメキシコで活動後、日本へ帰国。東京や愛知を拠点に洋画壇で活躍し、子供の美術教育や壁画制作にも挑んだ。本展は、メキシコと日本の架け橋となった北川の約30年ぶりの回顧展。北川がメキシコ時代に交流した作家や美術運動との関わりも視野に入れながら、北川がメキシコで学び日本へ帰国後も貫いてきた芸術への信念を再考するとともに、美術教育者としての側面にも注目するものとなる。

会期:2024年6月29日~9月8日
会場:名古屋市美術館
住所:愛知県名古屋市中区栄2-17-25
電話番号:052-212-0001
開館時間:9:30~17:00(祝日除く金〜20:00)※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、7月15日、8月12日は開館)、7月16日、8月13日
料金:一般 1500円 / 高校・大学生 900円 / 中学生以下 無料

「エッシャー 不思議のヒミツ」(豊田市美術館


写像球体を持つ手 1935年 M.C. Escher Foundation Collection, The Netherlands All M.C. Escher works
© 2024 The M.C. Escher Company, Baarn, The Netherlands. All rights reserved mcescher.com

 滋賀県立美術館富山県美術館で開催された「エッシャー 不思議のヒミツ」が豊田市美術館に巡回する。 

 本展は、オランダのエッシャー財団の全面的協力のもと、初期のイタリアの風景から「だまし絵」的な代表作まで、約160点を一堂に紹介するもの。作品を模したセットなどを使って、エッシャーの作品を体感する場も設けられ、エッシャーの魅力を存分に楽しめる展覧会だ。なお、豊田市美術館の隣には坂茂が設計した豊田市博物館が誕生。あわせてチェックしたい。

会期:2024年7月13日〜9月23日
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1
電話番号:0565-34-6610
開館時間:10:00〜17:30 ※入場は17:00まで
休館日:月(ただし、7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開館)
料金:一般 1700円 / 高校・大学生 1200円 / 中学生以下無料

「リサ・ラーソン展 知られざる創造の世界-クラシックな名作とともに」(岐阜県現代陶芸美術館

ライオン(マキシ)〈アフリカシリーズ〉 グスタフスベリ磁器工房
モデル1968年~/作品1968-80年頃 高37.2cm×幅35.0cm×奥行39.0cm
©Lisa Lason/Alvaro Campo

 素朴で温かみのある、動物や人物をモチーフとした作品で知られるスウェーデンの陶芸家リサ・ラーソン(1931〜2024)。その回顧展が滋賀県立陶芸の森 陶芸館から岐阜県現代陶芸美術館に巡回開催中。

 本展は、「Seen and Unseen」をテーマに、リサ・ラーソンのこれまで知られてこなかった創作の側面に光を当て紹介するもの。愛らしい動物のシリーズなどおなじみの名作に加え、学生時代の作品、プロダクトと並行して制作を続けていた一点物の作品(ユニークピース)、ガラスなど異素材を用いた作品、また、互いに影響を与えた、夫である画家グンナル・ラーソンの作品など約250点の作品が並ぶ。

会期:2024年6月8日~ 8月25日
会場:岐阜県現代陶芸美術館
住所:岐阜県多治見市東町4-2-5
電話番号:0572-28-3100
開館時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで
休館日:月(ただし、7月15日、8月12日は開館)、7月16日、8月13日
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校生以下無料

「奈良大和路のみほとけ ––令和古寺巡礼––」(MIHO MUSEUM

国宝 聖観音菩薩立像 7〜8世紀 薬師寺蔵 写真提供:奈良国立博物館

 MIHO MUSEUMで、2024年夏季特別展「奈良大和路のみほとけ―令和古寺巡礼―」が開催される。

 1400年の昔から数多くの寺院が建立された奈良大和路には、静かな慈愛に満ちた「みほとけ」が伝えられている。大和の情景は古代から多くの歌人に詠まれ、近代でも憧れをもった文学者たちがこ ぞって南都の古寺や風土を巡った。本展では、法隆寺、東大寺、薬師寺、唐招提寺、大安寺、西大寺をはじめとする古寺の仏像、絵画、工芸品を、奈良を愛した写真家・入江泰𠮷の作品と、奈良大和路を舞台 にした文学を交えて紹介。数多くの寺院が建立された「奈良大和路」に伝わる「みほとけ」の世界を鑑賞することができる。

会期:2024年7月6日~9月1日
会場:MIHO MUSEUM
住所:滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
電話番号:0748-82-3411
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の1時間前まで
休館日:月(ただし、7月15日、8月12日は開館)、7月16日、8月13日
料金:一般 1300円 / 高校・大学生 1000円 / 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方(介添者は200円割引) 無料

「滋賀の家展」(滋賀県立美術館

「滋賀の家展」チラシ

 多くの住宅建築関連の工場を県内に有してきた滋賀県は、近代以降の日本の住宅建築の展開を支えてきた。また琵琶湖を中心とする自然豊かな土壌に惹かれ、別荘地やベッドタウンとしての活用が進むいっぽうで、古くからの集落を残す場所でもある。

 本展では滋賀県と日本の住宅建築のつながりを起点に、今まさに滋賀県に生きる人々の暮らしと建築がどのような未来の生活様式や環境をかたちづくるのかを見つめるものだ。

会期:2024年7月13日〜9月23日
会場:滋賀県立美術館
住所:滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
電話番号:077-543-2111
開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし祝祝日の場合には開館し、翌火曜休館)
料金:一般 1200円 / 高校生・大学生 800円 / 小・中学生 600円

「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館

「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館、2024)展示風景より、左が村上隆《雲龍赤変図》(2010)、右が《金色の空の夏のお花畑》(2023)
(C)2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co.,Ltd. All Rights Reserved.

 今年2月に始まった、日本を代表する現代美術家・村上隆の大規模個展「村上隆 もののけ 京都」もいよいよこの夏で終盤だ。

 村上にとって日本における大規模個展は「村上隆の五百羅漢図」(森美術館)以来8年ぶり3回目であり、京都では初。会場は6つの部屋で構成されており、約180点の作品が並ぶ。うち90パーセントが新作で、京都の文脈を取り込んだ作品も数多くある。京都市京セラ美術館で見る意義がある展覧会だと言える。なお、7月中には16点の新作がさらに追加される予定だ。レポート記事はこちら

会期:2024年2月3日〜9月1日
会場:京都市京セラ美術館 東山キューブ
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
電話番号:075-771-4334
開館時間:10:00〜18:00 ※最終入場は17:30まで
休館日:月(ただし祝日の場合は開館)
料金:一般 2200円 / 大学・専門学校生 1500円 / 高校生 1000円 / 中学生以下無料 ※京都市内の大学生以下は無料

「倉俣史朗のデザイン ー記憶のなかの小宇宙」(京都国立近代美術館

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