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2023.12.30

ホックニー展のレポート、ポケモン&ニンテンドーミュージアム、東京藝大まで。2023年のベスト記事10選

2023年のウェブ版「美術手帖」で、もっとも読まれた記事を紹介。人気の記事で今年を振り返ってみてはいかがだろうか。

「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景より、《春の到来、イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年》(2011)。東京都現代美術館 2023年 ©David Hockney
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 2023年のウェブ版「美術手帖」の記事(プレミアム記事はのぞく)で、もっとも読まれた記事ベスト10を紹介。年末年始に今年を振り返りながら読み返してみてはいかがだろうか。

※今年公開された記事(プレミアム記事をのぞく)を対象に、2023年1月1日〜12月25日の期間で累計ページビューを計測した。

現代美術の巨匠・ホックニーの大規模展

「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景より、《ノルマンディーの12か月》(2020-21)。東京都現代美術館 2023年 ©David Hockney

 2023年の現代美術展としてもっとも注目を集めたのが、東京都現代美術館の「デイヴィッド・ホックニー展」だろう。2022年のウェブ版「美術手帖」の読者が選ぶベスト展覧会にも選ばれた「ゲルハルト・リヒター展」に続き、現代美術においてもっとも高く評価される現存作家の個展となった。今年公開のウェブ版「美術手帖」の記事でもっとも読まれたのも、同展のレポート記事「デイヴィッド・ホックニーが現代美術の最高峰と言われる理由とは。東京都現代美術館で『見る』ことを探求する」(7月15日掲載)だった。

 昨年、注目を集めたリヒターと比べると、コンセプトや歴史との接続性が前面に出ているわけではないホックニーの作品だが、本展は「『見る』ことをいかに絵画に落とし込むのか」というホックニーの探求をひも解くような構成が目指されており、本展で作家への理解が深まった人も多いだろう。

 展覧会の最後を飾る、ホックニーがiPadで制作した全長90メートルを超える大作《ノルマンディーの12か月》(2020-21)の、観客に周回をうながすようなダイナミックな展示も話題となった。

ポケモン&任天堂は時代を超えて

Links: Pikachu geïnspireerd op Zelfportret met grijze vilthoed, 2022, Naoyo Kimura (1960), The Pokémon Company International.

 人気キャラクターと美術とのコラボレーションはやはり注目度が高い。2位となったのは「ポケモンとゴッホ美術館のコラボレーションが実現。ピカチュウやカビゴンがゴッホの世界に登場」(9月28日公開)だ。

 ゲームのみならず、そのキャラクターにおいても世界中で世代を超えた人気を誇る「ポケモン」。オランダ・アムステルダムにあるゴッホ美術館が開館50周年を記念し、ポケモンとコラボレーションしたことを伝える本記事が、幅広い読者に届くのも当然だったと言える。ピカチュウやイーブイ、カビゴンといった人気キャラクターが、ゴッホの有名絵画に入り込んだような作品の数々は、美術の間口を広げる一端になったはずだ。

 同じくゲーム関連の話題としては、9位に「正式名称は『ニンテンドーミュージアム』に決定。2023年度内の完成を目指す」(9月15日公開)がランクイン。京都府に本社を構える任天堂株式会社が、過去に発売した商品を展示する資料館施設の設立を発表したのが2021年だったが、今年その正式名称が決定した。

ニンテンドーミュージアムのイメージ、任天堂のプレスリリースより(2021年6月2日時点)

 ビデオゲーム産業の歴史も長くなり、こうしたミュージアムの意義もますます高まる昨今。その歴史に美術の観点から光を当てていくことも、今後盛んになるはずだ。

注目が集まる東京藝術大学

展示風景より、手前は山口信子《習作》(1952) 昭和26年度卒業 買上

 一時期、クイズ番組等で「東大」ブランドが盛り上がったが、それに続くように「藝大」こと東京藝術大学もテレビのバラエティ等で盛んに取り上げられるようになっている。この流れを受けてか、3位に「東京藝大の授業を受けてみよう。『公開授業』が初開設」(7月25日公開)が、8位に「明治から現在まで、東京藝術大学で買い上げとなった優秀作品が一堂に。『買上展』藝大コレクション展2023が開催へ」(2月5日公開)がランクイン。

 「公開授業」は、東京藝術大学学生対象の授業に一般の人々が参加できるものとして今年10月に初開講。現代美術を軸とした様々なキュレーションの事例を複眼的に学び、キュレーションに関する基礎的な知識を習得できる授業がラインナップされた。

 「買上展」は、東京藝術大学が卒業および修了制作のなかから各科ごとにとくに優秀な作品を選定し、買い上げてきた作品を一堂に展示したものだ。横山大観、菱田春草、和田英作、小磯良平、東山魁夷、青木繁、萬鉄五郎、藤田嗣治といった美術史に名を刻む巨匠の作品とともに、今日の傾向を読み解くものとして、各科ごとにエリアを設け選定した作品を数点ずつ展示する試みも行われた。会場のレポート記事はこちらをご覧いただきたい。

スクリーンの「春画」人気

『春画先生』主演の内野聖陽と北⾹那 Ⓒ2023「春画先⽣」製作委員会

 4位は「日本初、『春画』を無修正でスクリーン上映。映画『春画先生』で内野聖陽が変わり者の春画研究家を熱演」(5月25日公開)だ。江⼾時代、⽊版画技術の発達で全盛期を迎えた⼈間の性的な交わりを描いた「春画」。これを題材にした10月公開の映画が『春画先生』だ。映倫の審査をクリアして、無修正で作品が上映されるという話題性も大きく寄与した。

 同じく春画を題材とした映画では、その知られざる魅力に迫るドキュメンタリー映画『春の画 SHUNGA』も11月に公開。2015年に開催された「春画展」を発端として制作されたもので、様々な性愛のかたちのみならず、春画を通じて、歓喜と興奮、情熱と悲哀、嫉妬、駆け引きといった「人間ドラマ」や、ユーモアを持って描かれる「生命そのもの」の魅力に注目した作品だ。

2024年注目の展覧会「中尊寺金色堂」

 国宝・中尊寺金色堂が2024年で建立900年。これを記念した展覧会を伝える記事「11体の国宝仏像をすべて展示。東京国立博物館で建立900年 特別展『中尊寺金色堂」』が開催」(7月4日公開)が5位に。

 岩手・平泉の中尊寺金色堂は、天治元年(1124)、藤原清衡(1056〜1128)によって建立された東北地方現存最古の建造物で、建物の内外は金色で飾られ、螺鈿蒔絵の漆工技法を駆使した装飾が施された絢爛豪華な姿を持つ。都から離れたこの地で栄華を極めた奥州藤原氏が眠る聖地であり、世界遺産に登録される岩手・平泉の文化遺産のシンボルとなっている。

 この金色堂の中央壇の壇上に安置される11体の国宝仏像をすべて展示するという試みや、奥州藤原氏のミステリアスな歴史への興味から、期待が高まっている展覧会と言えるだろう。

不変のソール・ライター人気

ソール・ライター 無題 撮影年不詳 © Saul Leiter Foundation

 2017年と20年に2回にわたってBunkamura ザ・ミュージアムで個展が行われ、大きな反響があった写真家、ソール・ライター。その、新たな展覧会の開催を伝える記事「ソール・ライター展が今夏、渋谷ヒカリエで開催へ。新たに発掘された作品を含む400点以上が集結」(4月18日)が6位に。会場のレポート記事はこちら

 本展は今年4月から休館(オーチャードホールを除く)している「Bunkamura ザ・ミュージアム」が、渋谷ヒカリエで開催したもの。ライターは2013年に逝去したが、その膨大な作品を整理するための財団が創設され、アーカイヴをデータベース化する「スライド・プロジェクト」が始動。没後にも関わらず、つねに新たな発見が続けられている。

 ファッション写真も手掛けていたライター。都市を舞台に撮影されたスタイリッシュな作品群が、いまも多くの人を惹きつけている。

大阪IRの作品無断使用

 国が認定した日本初のIR(複合型リゾート施設)「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備計画」。カジノを含む本施設の広報資料内でアーティストの作品が無断使用されていたことを伝える記事「大阪のIR、奈良美智らの作品を無断使用か。『許可自体を求められたこともない』」(4月15日公開)が7位に。

 資料に使われていたイメージ図で使用されていたのは、奈良美智の《あおもり犬》と酷似した作品や、村上隆の「お花」をモチーフとしたような壁紙だ。奈良はTwitter(現X)で許可を求められたことがない旨を公表した。

 本記事では木村剛大弁護士による、著作権の観点からの見解も掲載されている。公共空間におけるアーティストの作品に対する権利を考えるうえでも、ぜひ参照してほしい。

テート美術館の魅力を国内で

「テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ」展示風景より、オラファー・エリアソン《星くずの素粒子》(2014)

 2023年の展覧会入場者数ランキングで4位にランクインした国立新美術館の「テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ」。記事ランキングでも、本展の開催を伝える記事「テート所蔵の名作、約120点が来日。国立新美術館で『テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ』が開催」が10位に入った。

 英国近代美術史に重要な足跡を残したジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー、ジョン・コンスタブルらとともに、クロード・モネをはじめとする印象派の画家も展示。さらにオラファー・エリアソンをはじめとした現代美術もそろった。「光」をテーマに西洋美術の歴史を一堂で見られるとあって、幅広い層の人気を集めたと言えるだろう。会場のレポートはこちらを参照されたい。