日本初、「春画」を無修正でスクリーン上映。映画『春画先生』で内野聖陽が変わり者の春画研究家を熱演

平安時代からはじまり江⼾時代の⽊版画技術の発達で全盛期を迎えた⼈間の性的な交わりを描いた「春画」。これを題材にした映画『春画先生』が10月13日にロードショーされる。⽇本映画史上初、無修正の春画を劇場映画で扱うものだ。

内野聖陽と北⾹那 Ⓒ2023「春画先⽣」製作委員会

 2013年にイギリスの大英博物館で開催され、9万人もの入場者数を記録した「春画 日本美術における性とたのしみ」展。そして、15年に東京・目白の永青文庫で開催され、20万人以上を集めた日本初の「春画展」。国内外で人気を博す春画を題材とした映画が、この秋に公開される

 そもそも春画とは何か。それは、⾁筆や⽊版画で描かれた作品で、平安時代からはじまり江⼾時代の⽊版画技術の発達で全盛期を迎えた⼈間の性的な交わりを描いた画のことを指す。鈴⽊春信、⿃居清⻑、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国貞など、著名な浮世絵師のほとんどが春画を⼿がけており、江⼾時代にはたんに好⾊な男性のためのものではなく、身分を問わず多くの⽼若男⼥が愛好していた。こうした春画は、高い人気を誇るものの、公の場で展覧される機会はまだまだ少ない。

 映画『春画先生』は、この春画を研究する「春画先生」を主人公に据えた作品だ。監督は『さよならくちびる』『⽉光の囁き』の塩⽥明彦。芳賀⼀郎こと「春画先生」を演じるのは、『劇場版 きのう何⾷べた?』『臨場 劇場版』など数々の個性的な役柄で知られる内野聖陽。「春画先生」の弟子・弓子は北⾹那が演じる。

 本作は、「春画先⽣」と、しっかり者の弟⼦・⼸⼦の姿を通して“好きなものにのめり込んでいく者たちの悦びと情熱”、そして究極の“推し活”を描く異⾊のコメディ。

物語は、将来への夢もないまま無為な⽇々を過ごしていたウェイトレスの春野⼸⼦の「私の⼈⽣にこの先、⾯⽩いことなど何ひとつ起こらないだろうと感じていたあの⽇…」というモノローグから始まる。“あの⽇”、いつものように⽼舗喫茶店で働いていた⼸⼦は、⼈⽬をはばからず春画をじっと⾒つめるシブい中年男性と出会う。⼸⼦に、春画とは何かを突然説き出し、詳しく知りたければ訪ねてこいと去っていく。常連の変わり者”春画先⽣”だという。この男、芳賀⼀郎は⾼名な春画研究家で、妻に先⽴たれ世捨て⼈のように春画の研究に没頭していた。春画への興味と芳賀に⼀⽬ぼれしてしまった⼸⼦は芳賀宅をたずね、美と興奮の坩堝の春画講座を受けはじめる。いつしか芳賀に導かれながら⼸⼦は、愛の冒険に⾶び込んでいく。やがて芳賀が執筆する春画⼤全の編集者辻村や芳賀の亡妻伊都の姉⼀葉の登場で波乱の予感が…。春画研究家と弟⼦のコンビの物語が始まる!(プレスリリースより、あらすじ)

 内野は本作について、「性愛についての奥深さを感じさせるちょっと笑える、微笑ましい『おとぎ話』のような感覚を持ちました」と本作の世界観に感銘を受けつつ、「春画先⽣という役は、普通の⼈にはない距離感の⼈で、⼤きな喪失感をもってますけど、とても愛すべき研究者だと思いました」とのコメントを寄せている。

 また塩⽥監督は、「⽇本の春画の知られざる美しさや艶やかさ、どこまでも陽気な⼈間賛歌とでもいうべき春画の魅⼒を少しでも多くの⼈々に知って頂きたい。その⼀⼼で、わたしたちはこの映画を作り上げました。笑って笑って、ちょっとエロくて、でもやっぱり笑ってしまう、そんな楽しい映画に仕上がったと⾃負しております」と自信をのぞかせる。

 なお春画はこれまで映画でもタブーとされ、性器部分の描写は映倫審査でボカシ加⼯が必要だったが、本作は劇映画初のR15+で認証され、⽇本映画史上初、無修正で浮世絵春画がスクリーンに映し出されることとなる。

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