新型コロナウイルスが5類に移行し、「コロナ禍」を脱したと言える2023年。インバウンドも回復を見せ、日本でも多くの旅行者の姿が見られた。ミュージアムではコロナ禍のスタンダードだった大型展覧会の日時指定予約制(=あらかじめ入場者数の上限が決まっている)がじょじょに姿を消し始めた今年。その入場者数はどのような変化を見せたのだろうか?
昨年は首都圏の大規模美術館を対象に、ランキング形式ではなく会期順でその入場者数を振り返った。今年はとくに人口が集中している首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)、中部圏(愛知・岐阜・三重)、関西圏(大阪・京都・奈良・兵庫)の3つのエリアを対象に、大型展覧会を中心とした数字を振り返る。なお本稿は日本全国の美術館・博物館を網羅するものではなく、あくまで一側面だということを補足しておきたい(中部・関西地域としては例外だが、金沢21世紀美術館も調査対象とした)。
ルーヴル、強し
コロナ禍(2019年)以前の入場者数調査ではトップ10が30万〜60万人という数字を叩き出し、展覧会は大きな賑わいを見せていた。2020〜22年においてその数字は大幅に減少したものの、昨年は特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」(東京国立博物館)が35万1153人、「ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」(東京都美術館)が30万7750人を記録するなど、回復の兆しは見えていた。今年はその流れが加速したと言える。まずは首都圏のベスト20を見ていこう。