ソール・ライター展が今夏、渋谷ヒカリエで開催へ。新たに発掘された作品を含む400点以上が集結

2017年と20年に2回にわたってBunkamura ザ・ミュージアムで行われ、大きな反響を呼び起こしたソール・ライター展。新たに発掘されたライターの作品を含む400点以上の作品が紹介される展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」が、渋谷ヒカリエ9F・ヒカリエホールで開催される。会期は7月8日〜8月23日。

ソール・ライター 無題 撮影年不詳 © Saul Leiter Foundation

 今年4月から休館(オーチャードホールを除く)している「Bunkamura」。その美術館である「Bunkamura ザ・ミュージアム」が、渋谷ヒカリエ9F・ヒカリエホールにて展覧会「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」を開催する。会期は7月8日〜8月23日。

 Bunkamura ザ・ミュージアムでは、2017年20年に2回にわたってソール・ライター展を開催。それまで日本ではほぼ無名だった写真家の名前を一気に知らしめ、大きな反響を呼び起こした。

 ライターが2013年に逝去した翌年、その膨大な作品を整理するための財団が創設され、アーカイヴをデータベース化する「スライド・プロジェクト」が始動。業績の全貌が明らかになるには十数年の歳月が必要とされており、没後にも関わらず、つねに新たな発見が続けられている。

ソール・ライター 無題 撮影年不詳 © Saul Leiter Foundation

 本展では、新たに発掘された作品による大規模なカラースライド・プロジェクションや未公開のモノクロ写真、絵画など最新作品群を含む400点以上の作品を紹介。これまで紹介していなかったライターの知られざる素顔と、「カラー写真のパイオニア」と称され世界中を驚かせ続ける色彩感覚の源泉に迫る。

 1946年、ライターは画家を志して、当時、芸術の新たな中心地であるニューヨークへと向かった。現地で意欲的な若い芸術家たちと交流するなか、写真の表現メディアとしての可能性に目覚め、絵筆とともにカメラで自分の世界を追求していくようになった。

ソール・ライター 無題 撮影年不詳 © Saul Leiter Foundation

 本展では、ライターが写真に取り組みはじめた 1950〜60年代頃のモノクロによる未発表のスナップ写真作品群や、アンディ・ウォーホル、ロバート・ラウシェンバーグ、ユージン・スミスなど、当時交流のあったアーティストたちのポートレート、そして1958年から60年代の『ハーパーズ・バザー』におけるソール・ライターのファッション写真を一堂に公開する。

ソール・ライター アンディ・ウォーホル 1952頃 © Saul Leiter Foundation
ソール・ライター 無題(ユージン・スミス) 1950年代 © Saul Leiter Foundation
ソール・ライター 『ハーパーズ・バザー』1963年2月号のための撮影カット  © Saul Leiter Foundation

 また、カラースライドの複製を多数展示するほか、会場2ヶ所ではプロジェクションを介してそのカラー写真も紹介。ひとつ目は、ライター自身が自宅でカラー写真を映写していた壁面サ イズでの代表作「Early Color」の作品群の投影であり、類まれなカラー写真でふたたび脚光を浴びることになったライターの名作を振り返る。

 もうひとつは、ヒカリエホールの大空間を利用した10面の大型スクリーンによる大規模プロジェクションだ。2020年以降に発見されたカラースライドを含む最新の作品群約250点を投影し、ライターの卓越した色彩感覚を検証する。

ソール・ライター 無題 撮影年不詳 © Saul Leiter Foundation
ソール・ライター 無題 撮影年不詳 © Saul Leiter Foundation

 なお、写真だけでなく、ライターにとって生きる原動力でもあった絵画作品も展示。印象派や日本の浮世絵の影響が見られ、独特な色彩感覚で描かれた絵画作品は、ライターが唯一無二のカラー写真の世界をつくり上げることができた秘密を解き明かす鍵となるだろう。

 また、会場では、ライターが60年間住み続け、現在も膨大な作品と資料が息づくニューヨークにあるアトリエの一部をヒカリエホールの空間に再現。つねに新たな発見や感動を与えるライターの創作を通覧できる機会をお見逃しなく。

ソール・ライター 無題 1960頃 © Saul Leiter Foundation
ライトボックスを見るソール・ライター 2013 © Margit Erb

編集部

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