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作家、美術館、観客における肯定の視座。服部浩之評「ウソから出た、まこと―地域を超えていま生まれ出るアート」展

地域の人々の参加や協働を軸とした表現の課題と可能性とは? 地域に根ざした実験的な活動を続けてきた3組の作家、北澤潤、Nadegata Instant Party、藤浩志による新作を取り上げ、その実践に迫った本展をインディペンデント・キュレーターの服部浩之がレビューする。

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光の演出は何を生み出したか。仲山ひふみ評 「クリスチャン・ボルタンスキー─Lifetime」展

現代フランスを代表するアーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーの大規模個展が、国立国際美術館(大阪)から巡回し、国立新美術館(東京)にて開催されている。歴史や記憶、人間の存在の痕跡をテーマとしてきた作家の「演出」の手法とはいかなるものなのか、新進批評家として注目される仲山ひふみが論じる。

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身体をめぐる切実な希求がかたちになるとき。中村佑子評「塩田千春展:魂がふるえる」

糸を用いた大規模なインスタレーション作品などで、世界的に高い評価を得ている塩田千春。25年にわたる活動を網羅的に見せる過去最大規模の個展が森美術館で開催中だ。一昨年にがんが再発し、死と寄り添いながら治療と制作を進めてきたという作家は、いま、身体や魂の存在とどのように向き合い、かたちにするのか。映像作家の中村佑子がその軌跡を論じる。

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戦後日本の彫刻を牽引し、彫刻教育の礎を築いた一人。佐原しおり評「清水多嘉示資料展―石膏原型の全てと戦後資料(第Ⅲ期)」

戦後の具象彫刻を牽引するいっぽうで、帝国美術学校(現・武蔵野美術大学)の創設にも関わり、以降40年間にわたり同学で教鞭を執り続けた清水多嘉示(しみず・たかし)。武蔵野美術大学美術館では、そんな清水の功績をたどる「資料展」として、清水資料の全容を可能な限り展示することが試みられた。資料調査のワーク・イン・プログレスを「展覧会」というフレームで提示した本展を、埼玉県立近代美術館学芸員の佐原しおりがレビューする。

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映画の言葉が紡ぎ出す叙情詩。大岩雄典評「平川祐樹 Rêve d’artiste La Magie à travers les âges」展

失われたフィルム映画のタイトルをモチーフとしたシリーズを手がける平川祐樹。本展ではフランス映画を対象としたシリーズ第5作目を発表。真っ黒なスクリーンに次々と現れるのは64本の映画の原題であり、展示室にはそれを読み上げる声だけが響く。この作品に潜む言葉の虚構性の問題を中心に、アーティストの大岩雄典が考察する。

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差異を超えてつながる「加勢」という態度。 荒木夏実評「パレードへようこそ」展

1969年生まれのアキラ・ザ・ハスラーと、1991年生まれのチョン・ユギョン。世代も作品の表現方法も異なる彼らが、「連帯」の旗印のもとに2人展を開催した。ゲイであるアキラ、在日コリアン3世であるチョンは、それぞれマイノリティ・グループに属する。東京藝術大学准教授でキュレーターの荒木夏実が、両作家へのインタビューをふまえ、本展をレビューする。

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建築家の手を離れたあとの「物語」を展示する。青木淳評「中山英之展 , and then」

気鋭の建築家中山英之の個展がギャラリー・間で開催中だ。本展は模型やスケッチ、テキストで解説するという従来の建築展のスタイルではなく、竣工後の建物を住み手の目線でとらえた映像で紹介するというもの。展示を通して見えてくる中山の制作と思考のプロセスを、建築家の青木淳がときほぐす。

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「絵画」はいかに機能するのか? 中村史子評「暗黙知の技術」展

「“絵画”の意味が露散した時代に、私たちはなぜ“絵画”を選び、制作するのか?」。その答えを探求するべく、岡本秀、木村翔馬、小山しおり、西原彩香、松平莉奈の5名が105x148mm以内の小品を出品した「暗黙知の技術」展が京都・FabCafe Kyoto / MTRL KYOTOで開催された。本展を愛知県美術館学芸員の中村史子がレビューする。

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小谷元彦の作品群を通して見る、日本・彫刻の歴史。小田原のどか評「小谷元彦 Tulpa – Here is me」展

彫刻家・小谷元彦は、これまで「ファントム(幽体)」をキーワードに、人間の痛覚や異形のものなど幅広いテーマを取り上げ、作品を生み出してきた。今年4月から5月にかけて東京・天王洲のANOMALYで行われた個展「Tulpa – Here is me」では、2017年に患った心筋梗塞の経験を経た新作を発表。「人体像」にフォーカスした本展を通して、彫刻家で彫刻研究者の小田原のどかが「日本の彫刻の歴史」への問いを開く。

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60〜80年代、出版文化を押し上げた編集者。鈴木俊晴評「ある編集者のユートピア 小野二郎:ウィリアム・モリス、晶文社、高山建築学校」展

晶文社を立ち上げた編集者で、ウィリアム・モリスの研究者でもあった小野二郎の展覧会が、世田谷美術館で開催された。モリスの芸術運動をめぐる考察を日本で展開させ、ヴァルター・ベンヤミンやポール・ニザンなどの著作をいち早く紹介するほか、ジャズやロック、映画関連の書籍も数多く出版。60〜80年代の出版文化に少なからぬ影響を与えた。生涯を通して「ユートピアの思想」追い求めたいち編集者の活動をたどる本展を、豊田市美術館学芸員の鈴木俊晴が考察する。

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関川航平が自身のスタジオを舞台として展示を企画。「以外」が示唆するものとは何か。大岩雄典評「5月」展

「以外スタジオ」を舞台として展開されたグループ展「5月」は、多数のイベント開催や日々公式サイト上で「日報」が更新されるなど、変化に富む展示だった。企画したのは、これまで会期中に風邪をひいてなおすまでを見せるパフォーマンスや、「AではなくBでもありえた」と題した展示を行ってきたアーティスト関川航平。本展についてアーティストの大岩雄典が、関川の作品の「文法」に則りながら、レビューする。

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国交樹立100年の京都、他者との遭遇としての展覧会。長谷川新 評「セレブレーション-日本ポーランド現代美術展-」展

日本とポーランドのアーティストが出品するグループ展「セレブレーション-日本ポーランド現代美術展-」が、京都市内の4会場で開催されている。社会や歴史などをテーマに独自の視点で制作された作品が集まった本展を、インディペンデント・キュレーターの長谷川新がレビューする。

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美術作品に「時間」はどう作用する? 高嶋慈 評「タイムライン 時間に触れるためのいくつかの方法」展

京都大学総合博物館で、「モノ」としての美術作品と時間をテーマにした企画展「タイムライン 時間に触れるためのいくつかの方法」が開催されている。インストーラー、修復士、美術史家が参加し、作品の科学分析結果や作家のインタビューも展示された本展について、美術批評家の高嶋慈がレビューする。

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“風景画”を再定義する画家。副田一穂評「吉本作次展 風景画論」

美術史上の絵画の技法や題材を参照しながら、現在の日本において可能な絵画を探求してきた吉本作次。自身の絵画体験や、日本文化としての落書きやマンガ的な要素をあえて取り入れている画家の最新作を含む展覧会「風景画論」が、名古屋のケンジタキギャラリーで開催された。愛知県美術館学芸員の副田一穂が、吉本の風景画を読み解いていく。

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「アウトサイド」と「アートのサイド」、どちらに立つか? 原田裕規評「櫛野展正のアウトサイド・ジャパン展」

日本唯一のアウトサイダー・キュレーター、櫛野展正による著書『アウトサイド・ジャパン 日本のアウトサイダー・アート』の刊行を記念した初の大規模展が東京・Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)で開催された。会場に集まるのは櫛野によって発掘された、「障害がある・なしにかかわらず、表現せずには生きられない“表現者と呼ぶにふさわしい隠れた芸術家”」70名以上。本展から見えてくる、ある「せめぎあい」とは? アーティストの原田裕規が論じる。

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