未来を向いていくために
柔らかな自然光が差し込む最後の展示室を飾るのは、母親となった友人たちの姿を刺繍で描いたポートレートのシリーズと、約5年間にわたり糸を縫い続けた《Time counter》(2019〜24)だ。新たな生命とともに歩むポートレートと、時間や環境との交感によって糸の色や針の運びに微妙な揺らぎが生まれる《Time counter》。これらが共鳴する空間は、まさに竹村が個人的な視座から「うごくせかい」を捉え、紡ぎ続けてきたことの証ともいえるだろう。


「縫うこと」「修復すること」を表現とする竹村に、あえて「壊れること」についてどのように感じているのかを尋ねた。
「『壊れる』というのは苦痛を伴うことです。しかし、その悲しみだけを共有したいわけではありません。それに対抗し、未来を向いていくために『修復』という行為がある。壊れることは問題提起であり、ものの強度や経験を捉え直すきっかけでもあるのです」。

なお、同フロアのギャラリー9では、ワークショップ成果展「壊れ物の〈修復〉を通して、水戸の街を知る・探る・見つける」も同時開催されている。館内にとどまらず水戸の市街地各所でも展示が展開されているため、本展とあわせて街巡りを楽しむのもおすすめだ。



















