高崎市にゆかりのある2名のアーティスト。長島有里枝と竹村京の2人展「まえ と いま」が群馬県立近代美術館で開催

それぞれ群馬県高崎市にゆかりのある長島有里枝と竹村京の2人展「まえ と いま」が、群馬県立近代美術館で開催される。会期は7月13日〜9月1日。

竹村京 Playing Cards in Mirrors 2013-19 撮影=木暮伸也

 長島有里枝と竹村京の2人展「まえ と いま」が、群馬県立近代美術館で開催される。長島は1973年東京生まれの写真家。95年に武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科を卒業後、98年に文化庁新進芸術家在外研修員としてアメリカに滞在。99年にはカリフォルニア芸術大学ファインアート科写真専攻修士課程を修了した。

 武蔵野美術大学在学中の93年には、実の家族とヌードを撮影したポートレートシリーズで「アーバナート#2」展パルコ賞、2001年には写真集『PASTIME PARADISE』で第26回木村伊兵衛写真賞を受賞した長島。17年には東京都写真美術館で個展「長島有里枝 そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」が開催された。

 近年では、短編集『背中の記憶』で第26回講談社エッセイ賞を受賞するなど、写真以外の活動も注目を集めている。長島の母方の祖父母は群馬県高崎市出身であり、同著には高崎の親戚の家で過ごした幼少期のエピソードや、大好きだった祖母の記憶が鮮やかに綴られている。

 これまでも祖母が撮った花の写真を作品のモチーフにしてきた長島は、本展で祖父母の遺品を使った新作も加えて、家族それぞれが生きた時間と自身の現在を接続することを試みる。

長島有里枝 『過去完了進行形』より《ミモサ、アカシヤ》 2019
長島有里枝 『SWISS』より《祖母の花の写真のインスタレーションショットNo.1》 2007 東京都写真美術館蔵

 いっぽう竹村は75年東京生まれ。写真やドローイングと刺繍を組み合わせた作品などを制作するアーティストだ。98年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、02年に同大学美術研究科修士課程絵画専攻(油画)を修了。04年にはベルリン芸術大学を卒業し、同年から3年間文化庁芸術家在外研修員としてベルリンに滞在。その後も15年までベルリンを拠点に活動を行った。

 18年にはポーラ美術館で個展「どの瞬間が一番ワクワクする?」を開催。そのほかシドニー・ビエンナーレなどの国際展やグループ展にも参加するなど精力的に活動を行ってきた。

 15年に帰国し、高崎に居を構えた竹村。写真やドローイングの上に刺繍を施した布を重ねる作品で、失われたものの存在や記憶をとらえてきた竹村は、家族についても制作の重要なテーマとしてきた。本展では、東京にあった実家の取り壊しと両親の高崎への移住を機に、東京と高崎、過去と現在をオーバーラップさせ、群馬で生み出された最新の絹糸も用いながら記憶や時間の作品化を試みる。

 高崎にゆかりのある同世代の2名の作家の「まえ」と「いま」を交差させる本展。個々の物語を超えて拡張していく作品空間を楽しみたい。

竹村京《Between Tree, Ghost has come》 2011 撮影=木暮伸也

編集部

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