上海外灘美術館「Youth Palace」から見る学びと、美術館という制度の主体性【3/4ページ】

展示とカリキュラムが交差する「少年宮」

 本展の特徴は、展示と教育プログラムを不可分なものとして位置づけている点にある。編み物やレタリング、無線機の組み立てといった少年宮を想起させる講座から、ボクシングやオーラルヒストリー、さらには「不服従の実践」をテーマとするアーティスト主導のブートキャンプまで、多様なプログラムが組み込まれている。

 こうした構成についてXは、「この3年間、知識や美学、公共性とどのように意味ある関係を取り戻せるのかを考え続けてきた」と語る。その問いを制度そのものへと向け返した結果として生まれたのが「Youth Palace」だ。

李明《The Path of the Brave》(2026)の展示風景 Commissioned by the Rockbund Art Museum, Shanghai. © Li Ming. Photo by Ling

 展覧会の副題に掲げられた「some small acts of self-making(自己形成のための小さな実践)」も、本展を理解するうえで重要なキーワード。Xはそれを、権力の外部に自由を求めることではなく、自らを形成する制度や規律を理解し、その内部から少しずつずらしていくための実践として捉える。

 「少年宮は、子供たちに文化や教育へのアクセスを開いた解放の装置であると同時に、規律ある社会主義的主体を形成するための装置でもあった。その矛盾に惹かれるのは、それを理想化したいからではない」。そう語るXは、本展を学校や少年宮、美術館といった制度を再現する場ではなく、それらを反転させるための場として構想した。展示と4ヶ月にわたるカリキュラムを重ね合わせることで、来場者が制度との距離を測り直し、別様の主体性を試行できる空間を目指している。

編集部

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