5フロアに広がる学びと実践の場
展示は美術館の全5フロアにわたって展開されている。1階では、日系プエルトリコ系(タイノ族)のアーティスト、パピーズ・パピーズ(ジェイド・クリキ=オリヴォ)が新作インスタレーションを発表。美術館のロビーはセルフディフェンス・ジムへと変貌し、来場者は実際に護身術を学ぶことができる。作品は、とりわけ制度的な保護から排除されがちなトランスジェンダーやクィア・コミュニティに着目しながら、自らと共同体を守るための主体性について考察する。

2階では、葛宇路(グゥ・ユルー)が《Hall of the Use-Less》(2026)を展開する。「役に立たなさ」を抵抗の実践として捉える同作は、過剰な生産性や効率性を求める新自由主義的価値観への異議申し立てでもある。会場は社交や休息のための空間として機能し、「何もしないこと」が持つ政治性を浮かび上がらせる。

3階では、イタリアの映像作家ディエゴ・マルコンの作品群が中国で初公開される。構造映画や映画技法への長年の探究を背景に、マルコンは「子供」という存在を通じて現代社会に埋め込まれた疲労や反復の構造を可視化する。

4階では、イラン出身のナイリー・バグラミアンや韓国のチャ・ジェミンの作品が展示されるほか、2024年のハノイ・クリエイティブ・デザイン・フェスティバルで発表された「Hanoi Children’s Palace Project」も紹介される。遊びや身体、建築、記憶をめぐる考察が交差し、社会主義モダニズムの遺産が現代的な視点から再解釈されている。

最上階では、李明(リ・ミン)が吹き抜け空間に巨大なロープブリッジを設置した。中国の少年宮で見られる障害物コース「勇敢者の道」から着想を得たこの作品では、身体的な挑戦を通じて制度的な訓練や規律の問題を想起させる。同時に、林科(リン・ケ)、楊俊嶺(ヤン・ジュンリン)との長年にわたる共同映像プロジェクトも展示され、生産性から切り離された時間の価値が示される。




















