東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスで、現代美術家・束芋による展覧会「束芋画 国宝」が開催される。会期は7月17日〜8月30日。
和紙に残された線画に着彩
本展では、2017年から18年にかけて朝日新聞で連載され、映画化もされた吉田修一の長編小説『国宝』のために、束芋が制作した挿絵全500点を展示。会期を前期・後期に分け、膨大な作品群を通じて物語世界と作家の創作プロセスをたどる。
束芋は、浮世絵を思わせる色彩と手描きアニメーションによる映像インスタレーションで知られ、2011年には第54回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家を務めた。本展では、その映像作品とは異なる「絵画」としての束芋の実践に焦点を当てる。

束芋は連載当時、まず墨による線画を描き、その後に小説を読み込みながら、場面ごとの感情や空気感を色彩として重ねていった。新聞掲載時には、線画と色彩はデータ上で合成されていたが、本展にあたり束芋は約10年ぶりに作品と向き合い、和紙に残された線画へ改めて着彩を施した。
過去の自分が描いた線を手がかりに、現在の身体感覚で色彩を重ねる行為について、束芋は新たな発見と面白さがあったという。時間を隔てて再び作品と向き合うことで、当時の感覚と現在の感覚が交錯し、挿絵は新聞紙面のためのイメージからひとつの独立した作品群へと姿を変えた。

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